加齢とともに美しさを失っていく
恐怖に耐えかねた女優が、
若さと美貌を取り戻す事だけを目的に、
娘を産み、そして自分の娘と
脳移植をするという伝説的な作品。
一度読んだら決して忘れられないこの設定は、
マンガ黎明期にのみ許された特権であり、
このインパクトを超える設定は
今後作ることはできないだろう。
この辺りの恐怖の描写は
さすがに「楳図かずお」である。
ただし、非常に秀逸な設定と
恐怖の描写とは裏腹に、
本作のストーリーが面白いかと言われると、
全編を通しての感想は非常に難しいところである。
サスペンスとしては、素晴らしい出来栄えで
特にページをめくらせる力は圧倒的なのだが、
最後の伏線回収は、あまりに強引である。
しかし、その辺りを差し引いてもなお、
人間の心に潜む狂気を描かせると
右に出る者はいないカリスマだからこそ、
未だにこの作品は、語り継がれているのだろう。
「深淵を覗くものはまた・・・」
という言葉が相応しい傑作である。