近年、最もお気に入りだった学園ラブコメ。
ストーリー、絵、キャラクター、と、
どれをとっても弱点がなく、
とにかくセンスの高い作品だった。
入学初日から喧嘩沙汰で学校にこない「春」という、
となりの怪物くんを眺めるテンプレタイプの
作品かと思って読み進めていたら、
ヒロイン「雫」も他人との距離感が測れない
怪物だったという斬新な構図。
そして、お互いが「となりの怪物くん」を眺めながら、
自分と他人の距離感を学んでいくという設定は、
これ以上ないほど見事だった。
また、脇キャラクター達の完成度も非常に高かった。
最終1話前の「3年生」の回が、
ほぼ全編セリフ無しで展開できたことがその証左だ。
登場キャラの個性が完全に立っていたからこそ、
あの回の無音が映えるのだ。
そして、何よりデザート看板作品として圧倒的に
売れていたにも関わらず、13冊という
最近ではコンパクトな長さで終わってくれたことに
心から感謝したい。
2010年代を代表する少女漫画の一角である。