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つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

それでも町は廻っている

11年続いた日常系マンガの王者が、
最終16巻でついに完結した。感無量である。

石黒正数」という作者は、
短編集などでも才能を発揮しているのだが、
如何せん、少し鋭すぎる部分があり、
それ故に毒のある作品を創る。

しかしそんな才能を
丸子町商店街という舞台が、
見事なまでにオブラートに包んだ結果、
他に類を見ない作品に昇華された。

それが本作「それ町」なのだ。


テンプレート的なマンガが
多くなってしまった現代において、
老若男女がここまで活躍する作品は珍しく、
作中のキャラクター1人1人に
愛着が持てる内容になっている。

この辺りは、マンガ家には珍しく、
充実した青春を送っていたという
作者の幅広い人間観察眼が発揮されている。

また、加えて何よりも高く評価したいのは、
本作の構成である。

最終話が思ったよりもあっさりしているのも当然で、
ファンの方ならご存知の通りこの作品は、
主人公の高校3年間の日常を
時間軸を入れ替えて連載するという
恐ろしい実験作なのである。


そして、その実験が見事に成功したことは、
最終話の一話前から最終話への繋がりで
見事に証明されていた。

この辺りの一連の流れを理解する為には、
同時発売された公式本は必読の一冊で、
全ての話の時間軸と前後関係が描かれた公式本には
作者の異常なまでの本作への愛情が感じられる。

また、そんなマニアックな公式本に手を出さなくても良いように、
追加されたエピローグがあまりにストレートに感動的な点も心憎い。

このエピローグの為だけにでも
絶対に最終巻を買う価値がある。


SF奇譚からストレートな青春までを
複雑な構成と様々なキャラクターを織り交ぜながら
見事に完結まで描き切った本作は、
ここ十数年で最高レベルの傑作として称えられるべきだろう。


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