つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

日出処の天子

大御所「山岸涼子」の代表作。


厩戸王子、いわゆる「聖徳太子」を
主人公にしたマンガで、
少女マンガが得意とする
歴史ロマンスジャンルとは
少し違う印象を受けるが、
その「聖徳太子」が
女性とみまごう美貌の持ち主で、
超能力を操るとなると話は違ってくる。


また、本作の重要なテーマは、「同性愛」
結ばれることのない、曽我家の長男との恋愛は、
精神面の意味での、BLの本質を描ききっている。


政権の中で活躍する王子と、
愛情に飢え孤独に陥る王子。

一人の天才の人生が
圧倒的な描写力で描かれる本作は、
古典少女マンガの名作に共通する、
卓越した創作意欲と熱量が紙面に溢れた作品である。


ただし、読むと疲れるのでそこだけは注意。
作者の情念が描かせた渾身の傑作である。

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