働く女性をテーマにした作品としては、
さすがベテラン槇村さとる、面白い内容に仕上げている。
そもそもマンガ家業が所謂サラリーマンとは
一線を画している事からも、この手の
働く主人公の作品を描くのは案外難しいものなのだ。
本作は百貨店に勤める主人公が、
布団売り場から急に婦人服売り場に
配属転換されるところからスタートする。
洋服等あまり興味がなかった主人公が、
次第にファッションに目覚め、
それと共に会社における自分のキャリア、
そして恋愛の両方を探し求めながら成長していく物語は、
ありがちだが非常に面白かった。
それはやはり百貨店のバイヤーという職業の面白さや、
現在の百貨店という存在の悲哀等を
作者が上手く分析して物語に落とし込めているからだろう。
前半の面白さに比すると、後半はやはり、
若干現実離れした出世の階段を
上り始めてしまった点が残念だったが、
出世ばかりして社長になってしまった
某サラリーマンマンガよりは、はるかに良い展開だった。
風呂敷のたたみどころとしては、
13巻の完結はまぁ妥当なところだったのではなかろうか。
前半の展開だけ見れば満点だが、
後半部分に関して若干勢いを落としたので、そこだけは、残念。
しかし、総じて破綻のない、良い作品だった。