何か一つだけラブコメ作品を選ぶとすれば、
なにげなく選んでしまうかもしれない作品、それが本作だ。
作者とよ田みのるの画風は、お世辞にも上手とはいえないが、
素朴さと誠実さを伝える分には十分な役割を果たし、
自然とこの作品への愛着を高める。
こういう作品を読むと、やはりマンガは絵だけではないのだな、
と思わされるものだ。
ラブロマのタイトルにはそぐわず、
ラブロマンスな設定でもなければ、
なによりラブロマンスを感じさせる絵柄でもない。
単なる恋愛初心者同士の学園ラブコメディだ。
けれども、本作は、ラブロマンスが伝えたい本質を十二分に抑えている。
それは、何より人生における最初の恋愛というもの自体が
多くの人の記憶にとって、何にも変え難いラブロマンスだからなのだろう。
ラスト3話の構成も見事。
学園ラブコメディとしては、
本作の終わり方は最も参考にすべきお手本である。