つれづれマンガ日記 改

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わたしは真悟

多くのマンガに目を通すと、
「面白い作品」というのは
それなりの確率で出会える。

しかし稀にだが
「スゴイ作品」
が存在する。

一気に読破して、読み終えて、
ふっと溜息が出る。

何か感想を考える余力が沸かない、
マンガ家の思想、思念に
思考力を奪われたような状態。


そんな衝撃を与える稀有な存在。


その一つに数え上げられるのが、
本作「わたしは真悟」だろう。


主人公「さとる」は小学生。
ある日、町工場にやってきた産業用ロボットを見学しに行った日に、
ヒロイン「まりん」と出会うところから物語は展開する。


お互いに惹かれあう小学生と、
その媒介となるロボット。

二人はロボットに少しずつ、
様々なことを教えて、そして。。。

ロボットが知性を持ち、
人間に近づくという展開は
SFの古典である。

しかし、それを
リアル系の画力を持ちながら
成し得た作品を私は他に知らない。

昨今の萌え系、ライト系の絵柄なら、
多少強引な展開の物語もフィクションとして読むことが出来る。

けれども、劇画系の絵は違う。
夢物語を描いても、画風と合わないために、
読者が置き去りにされるのが落ちだろう。


しかし、天才「楳図かずお」は違った。


劇画系の絵柄を持ちながら、この奇想天外な物語を、
現実のように描いている。

 

楳図かずおの持つ狂気が、
ギリギリのところで作品として成立し、
最後まで読まされてしまう。
この辺り、近年の似非狂気作品とは、
完全に格の違いを見せつけている。
 

現在入手しづらい作品ではあるが、
必ず抑えておくべき古典の一つだろう。

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