島本和彦から
熱血を取り上げたら何も残らない。
そんな彼の作品郡の中でも、
頭一つ飛びぬけておかしい作品が逆境ナインだろう。
映画化もされてしまったので、
今では衆目の知るところとなった本作だが、
その狂ったテンションは
やはり今読んでなお斬新である。
もちろん山場は甲子園をかけた決勝戦。
主人公がデッドボールで欠場となり、
目を覚ませば9回裏100点差。
さぁ、どんな逆転劇が。。。
普通に考えて、ない。
どう考えても100点差はないし、逆転できない。
しかし、本作のタイトルは
「逆境ナイン」
もう作者自身が自分を逆境に
追い込んでいるとしか思えない、
風呂敷を広げるだけ広げまくった状況を相手に
主人公は立ち向かうのだ。
その後の展開は、
是非読者自身の目で確かめて欲しい。
多分、この風呂敷の大きさを超えるマンガはない。
改めて考え直しても、「9回裏100点差はおかしい」
けれども、
けれどもいつ読み返しても、
思わず納得してしまう満足感が読後には得られるのだ。
偉大な作品である。