つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

ORANGE

サッカーのプロチームに着目した作品といえば、
昨今の読者には、「GIANT KILLING」が有名かもしれない。

けれども、今より10年以上前に、さらにマイナーな視点である

「Jリーグの昇格争い」

を焦点に描かれた物語が本作だ。

能田達規の代表作といえば、その連載期間からも
やはり「おまかせ! ピース電器店」かもしれないが、
作品の質から言えば本作が最高傑作と個人的には捉えている。


13巻という長さも大変丁度良かった。
下手に人気があれば、もう少し続編を、
という展開も有り得たかもしれないが、作者には申し訳ないが、
本作はこの長さで完結している点に味がある。
やはり個人的経験則から、マンガは10巻前後に傑作が多い。


本作の売りは、とにもかくにも、着眼点の良さだろう。

人気の無いチームが、
いかにチーム運営に苦労し、
選手集めに苦労し、
予算に苦労し、
それら全ての皺寄せが選手に跳ね返ってくる。

そして、そんな逆境を次々に跳ね返す天才的な主人公。
正に少年漫画の鏡と言える。

また、古い作品ながら
サポーターの力に関しても深く作品に絡ませている辺りも素晴らしい。

それまでのサッカーマンガで、
サポーターという存在を深く切り込んでいた作品は、
私の記憶する限りでは見たことが無い。


作者の興味と情熱が作品に見事に乗ったパターンだろう。

特に後半の昇格を賭けた3試合ほどの展開はお見事としか言えない。

サッカーマンガ好きならば是非抑えておきたい作品だ。

侮れないマイナー作品は、
いつもマンガ読みを喜ばせてくれるものだ。

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