受験戦争や家庭の事情に押し潰される
日々を送る主人公の女子高生「望江」
同じように失意の日々を送る高校生五人が、
たまたま乗り合わせた電車で見つけた、
自然の世界「みみずくの里」へのチラシ。
気がつけば五人は、
乗る予定のなかった列車に飛び乗り、
どこへ向かうともわからない旅に出始めていた。。。
全五冊の物語の中に、
若者の情熱、葛藤、
若さゆえの未熟さを詰め込んだ腕前には
賞賛を送りたい。
また、哲学的な葛藤だけでなく、
エンターテイメントとしても
完成しており、一度読み始めれば
必ずラストまでのページをめくる手が止まらないだろう。
こういった物語を読むと、
案外自分探しというものも、
バカにできないと思わされてしまう。
誰にでも一度は訪れる、
自分の今の居場所から逃げ出したら、
という仮想現実を、
丁寧に追いかけた傑作。
オススメである。