鬼才、石坂啓による冒険的な作品。
幼馴染の男性二人と
女性一人が同棲を始めるという
ごくごくありふれた展開から、
物語は始まる。
当初は、男性恐怖症のヒロイン「とまと」と、
フツウの主人公「玉吾」による
ラブコメのような展開で導入される本作。
しかし、その後、
兄貴分的な存在の「菜」に、
主人公が同性愛を告白されることから
物語は全く別の展開を迎える。
男性誌の連載において、
同性愛に関してこれだけ踏み込んでいる作品は、
作品発表から30年近く経った今もなお、
あまりお目にかかった事がない。
全6冊を通しての作品の質は、
お世辞にも、他の石坂作品より
優れているとは言いがたいが、
性別を超えた人間同士のつながりに関して描こうとした
意欲的な作品である点を、高く評価したい。