つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

バリバリ伝説

個人的に、
バイクや車にはあまり興味はない。

しかし「バリバリ伝説」は別だ。
主人公「巨摩郡」の操るバイクほど
躍動感あふれる描写はマンガ史においても稀有だろう。


マンガはアニメに比べて、当然ながら動きに弱い。
所詮は紙の上の世界なのだから、当たり前だ。


しかし、本作は違う。

作者「しげの秀一」の、見事なまでの速さへの執着が、
紙面から伝わっくる作品で、
絵の粗さが迫力に摩り替わった好事例である。


また、ストーリー構成も文句のつけようがなかった。


青春活劇として楽しむならば、
前半の鈴鹿耐久ロードレースまでが最高だ。
特に「郡と秀吉」の熱い友情に泣かされる。


バイクレース作品としては、
日本GP編もいいが、やはり
最後の世界GP編は一度読み始めたら止められない。


この引きの強さは主人公の、

天才性ゆえの危なっかしさにあったのだろう。


勝つだろうな、と思うレースでも、
最後までどうなるかわからない、
そんな緊張感を持ちながら、
読者は作品を読み進めることになるのだ。


そして、最後の最後で登場するあの人物。

あのシーンを読んで、
震撼しなかった読者はいないのではないだろうか。

やってくれたな、しげの秀一

思わず、そうつぶやきたくなるマンガ史に残る名場面である。

「誰よりも速く走る」
その主人公の願いどおり、
今のところ、本作より「速い」バイクマンガには、出会えていない。


衰退著しいバイクマンガの世界だが、
本作を超える作品に出会える日を期待したい。

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