本作には2つのストーリーがあった。
一つは、保健室の死神と呼ばれる
怖い顔の「ハデス先生」が、
生徒の心に巣食う「病魔」と闘う
シリアスなファンタジーアクション。
もう一つは、登場人物の生徒たちが織り成す、
学園コメディ作品としての物語だ。
この手のパターンを内包する連載は
成功すれば非常に人気のある
息の長い作品になる場合が多いのだが、
本作は全10冊程度で終了となってしまった。
個人的にはやはりシリアスパートが問題だったと見ている。
作者「藍本松」は、
「泥で作られた人間」で初連載をするような作者なので、
明らかに深い話やシリアスパートが好きなのだが、
残念ながら、シリアスパートの才能があまりない。
翻って、コメディパートの才能は、
かなりのものがある。
個人的にはこのコメディパートの面白さは、相当好みであり、
お気に入りの作品として楽しんでいた。
この辺り、作者が自分の描きたいものでなく、
描けるもの、に執着して作品作りをしていたら、
もう少し本作は人気を得ていただろう。
ただまぁ、連載が長くなれば良いというものでもないので、
その辺りは難しいのだが。
次回作品が、どちらのテーマで攻めてくるのか。
その点を非常に楽しみにしている。