(2012年評)
秋重学と北沢未也のコンビが
本作でデビューしたときは衝撃だった。
小学校のクラスで一番足の速い男の子「飯塚司」と、
交通事故で片足が動かなくなった女の子「前田紗英」。
お互いに惹かれあう二人は、出会い、そしてすぐ
長い別れを味わうことになる。
過去多くの作品が、幼馴染の出会いと恋愛を作品にしてきたが、
本作以上に輝かしい青春グラフィティはなかなかお目にかかれない。
一つの理由はキャラクター描写のレベルの高さだろう。
どのキャラクターも非常に活き活きと自分の人生を歩んでいる。
もう一つの理由は、「SEX」というテーマを避けなかった点だ。
幼馴染の2人の小学生は、お別れの際に約束する。
大人になったらSEXしよう、と。
このシーンは非常に印象的であり、
また作劇的にも十分に練られた構成であったことが、
後の展開を読むにつれて読者にもわかってくる。
この手のマンガにおいて、「SEX」を得意とするのは
大抵女性なのだが、原作者「北沢未也」もやはり女性なのではないだろうか。
そんな憶測が浮かぶ。
全5冊。最初から最後まで、
無駄な展開は何一つ無く、
短い故に完成している。
秋重学と北沢未也の二人は、
今なお本作を越える作品を作れていない。
もう一度このコンビがマンガを描く時はないのだろうか、
そう思わずにはいられない傑作である。
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