2016年、2015年と本ブログの総合ランキングに
2年連続ランクインしていた有名作品もついに完結。
ただ、結果としての評価は非常に難しく、
最後まで「SFとサスペンス」つまり、
「ファンタジーと現実」の区別がつきにくい作品だった。
Amazonのレビューで「面白さは5、作品としては3」といった
評価があったが、まさに的を得ている。
少しアニメ的な絵柄とSF設定を舞台にした、
サイコサスペンスという導入は素晴らしかった。
実際に、5巻ぐらいまでの面白さはダントツである。
ただ、最終8巻までの流れを考えると、
どうにも感情移入しづらい部分が増える。
特に、序盤のサスペンスの出来が抜群な分だけ、
最終2巻あたりの、現実離れした決着のつけ方が腑に落ちない。
ファンタジー作品として読めば、十二分によくできているのだが、
サスペンス作品として読むと、リアリティが足りない。
その意味で、序盤と終盤で、
作品が描こうとしている面白さのベクトルが代わってしまっているので、
その辺りに納得できない読者は置いて行かれてしまうのである。
犯人との最終対決シーンのカタルシスは満点だっただけに、
非常に惜しい作品である。
本作が「未来日記」だったらもっと素直に楽しめただろう。
良くも悪くも角川系列らしさから逃れられない作品だった。
僕だけがいない街(8)<僕だけがいない街> (角川コミックス・エース)
- 作者: 三部けい
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
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