つれづれマンガ日記 改

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ピコピコ少年 / ピコピコ少年TURBO

(2012年評)
ハイスコアガール 」が思いのほか面白かったので、
そのまま「ピコピコ少年」と「ピコピコ少年TURBO」へ。

どちらも作者の半自伝的なゲーマー人生を描いた作品であり、
2作品はそのまま続編のように紹介されている。


しかし、2作続けて読んだ身としては、
そのクオリティにおいて大きく差を感じたので
その辺りをレビューしたい。


まず、ありがちな話だが、
最初の一作「ピコピコ少年」は、大傑作である。

80年代から90年代のゲーム史を振り返る意味でもそうだが、
なにより、これが本当のオタクライフだからだ。

げんしけん」は面白いと思うが、
あそこには本物のオタクライフはない。

正確に言うと、かつてのオタクが差別されていた時代の
オタクライフを「げんしけん」では再現できていなかったのだ。

無論、そんなどうしようもないオタクライフを
マンガで描かせるような余裕は、
昔の雑誌にはなかったわけだが、時代は変わった。

「ピコピコ少年」はどうしようもないゲームジャンキーの
オタクライフを描ききっている。

常に心の中で自分を正当化して、
悪辣な人相でゲームとセカイを眺める姿は、
オタクをこじらせている主人公に相応しいキャラクター設定だ。

そして、時に社会に環境に逆切れする。

また女の子も全くからんでこない。

これぞオタクライフだなぁ、と
納得せざるをえない説得力が作品から溢れているのだ。


ところが、「ピコピコ少年TURBO」になると
その勢いは随分うすまってしまう。


まず、主人公の顔つきが優しくなっている。
また、それ以上に注目するべきは、
四角いフキダシの量なのだ。

背景に埋め込まれた主人公の心情を描く
フキダシと異なり、四角いフキダシは主に、
状況を客観的に眺める場合に利用される。


「ピコピコ少年」では、そんな客観的な視線はあまりない。
主観が主にひねくれた主人公の視点で描かれている。


「TURBO」は残念ながら違う。
主人公が非常に客観的なのだ。


そして、そんな自分を客観視できるような人間は、
オタクをこじらせている状態とはいえないのだ。

この差が作品の質にダイレクトに跳ねてくる。


以上の違いを踏まえて、
まずは「無印」のピコピコ少年から読むことを
是非お勧めしたい。

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ピコピコ少年

ピコピコ少年

 
ピコピコ少年TURBO

ピコピコ少年TURBO