つれづれマンガ日記 改

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「子供を殺してください」という親たち(3)

 


とにもかくにも、現在連載中の社会は作品の中では、
この作品は群を抜いている。

社会的介入者を自称する押川剛の描く物語と、
鈴木マサカズの独特の画風が見事にマッチしており、
そのリアリティ溢れる物語が、重い読後感を読者に残す。

世の中、掃いて捨てるほど娯楽マンガが転がっているが、
たまにはこんな、本物の社会派作品を読む事で、
マンガの幅広さと奥深さを楽しめるものである。

今回の収録作品の中では息子がストーカーになる物語が中心だが、
その事件解決までの一連の流れが本当に素晴らしい。

息子の行動の中には特別な犯行動機はないし、
息子を立ち直らせる親子の会話の中にも何も特別な台詞はない。
どこにでもある、単なる日常。

しかし、それでも面白い。これは本当に凄い事である。

どんなに作劇を工夫して作品を創ろうとしても追いつけない、
本物のリアリティがこの作品には溢れている。
未読の方には是非手に取ってほしい傑作だ。