つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

2015年総合ランキング

(2015年記事の再掲)

【ランキングルール】
ランキング作成に利用したデータは以下の5つ。

このマンガがすごい!2015オトコ編
このマンガがすごい!2015オンナ編
THE BEST MANGA2015(フリースタイル)
エンタミクス漫画RANKING
ダ・ヴィンチコミックランキング

各ランキングは50位まで公表されているので、
それぞれのランキングの順位をそのまま点数にする。
50位までに入らなかった場合は51点として計算。

各ランキングの結果を合計した結果、
最も点数が低かった作品が優勝。
ちなみに同じ点数の場合は、より新しい作品や掲載雑誌が多いものが上位。

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第20位 アオハライド

 

 


エンタミクス21位
ダヴィンチ21位
オンナ編34位



三つの雑誌にランクインした学園恋愛作品の本作がまずは20位。
タイトルのアオハライドは、
「青春(アオハル)」と「ライド」
からくる造語だが、その名に相応しい
青春王道作品に仕上がっている。

個人的には作者の「咲坂伊緒」は、素直な少女漫画を描かせれば現役最高峰だと見ている。
それくらい、恋愛というものを真正面から捉え、現代の若い感性に沿ったマンガを描ける作者だ。

前作「ストロボ・エッジ」と比較してしまうと、
男性キャラクター側がやや弱いのが難点だが、
それでも、少女マンガ好きは目を通して間違いがない作品だろう。

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第19位 海街diary

 

 


ダヴィンチ7位
オンナ編16位


最早説明不要ではあるが、
往年の名作が第19位である。

鎌倉に住む三姉妹が、異母姉妹の「すず」を受け入れる事から始まった本作だが、
気が付けば連載開始から既に8年を経過していたのだから驚きである。

しかし、未だに1巻を読んだ頃の衝撃が忘れられない、
そして8年経った今でも、少しも衰えることなく面白い、そんな奇跡の作品。

この手の日常を描く作品は、昨今の荒唐無稽な設定だけが命のマンガと異なり、
作者の経験とセンスのみが反映されるジャンル。

そんなとりわけ厳しいジャンルで、8年にも渡り、第一線の作品を世に出し続けているわけだから、
やはり「吉田秋生」は天才なのだろう。

それぞれのキャラクターが、それぞれの人生を、
世代を超えて精一杯生きている姿勢が、胸に迫ってくる偉大なマンガ。
この、圧倒的な登場人物達のリアリティは何なのか。
そんな現役最高峰の、実力を見せつける名作である。

本作が「BANANA FISH」を超えて、吉田秋生」の代表作となる事は
もはや間違いなく、それ故にラストが訪れるのが、嬉しくもあり寂しくもある作品。
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第18位 ハウアーユー?

 

ハウアーユー? (フィールコミックス)

ハウアーユー? (フィールコミックス)

 

 


オトコ編17位
BEST MANGA6位


Sunny Sunny Ann!
で鮮烈なデビューを飾った作者「山本美希」が
BEST MANGAの好評を受けて第18位にランクイン。

デビュー作を読んだ時は、
この作風のままで、この作者はどこに行くのだろうか、
と不安を感じたが、その不安を吹き飛ばしてくれる作品だった。


誰もがうらやむ絵にかいたような幸せな家庭の、
外国人妻「リサ」の旦那が突然失踪するところから物語は始まる。

夫を探し、徐々に崩壊していく日常生活と、誰もがうらやむ幸せな家庭像。
そして、彼女を最後まで気にかける隣人の少女「ツミちゃん」。

一たびページをめくり始めれば、最後まで手を止めずに読まされてしまう事間違いなしの作品だ。

また、巻末の作者による作品解説も非常に面白い。
絵やコマ割りを通して、物語をどのように伝えたかったか、
作者の意図がここまで細かく描かれたあとがきは、ちょっと珍しいのではないだろうか。

その意味では、マンガ研究資料的にも貴重である。

「女性」と「外国人」というテーマに深く取りつかれた、作者の次回作はどこに行くのか。
そんな事を考えてしまう読後感であった。
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第17位 アルスラーン戦記
 

エンタミクス35位
ダヴィンチ22位
オトコ編17位

幅広く三誌にランクインした本作が17位。
まぁ、
荒川 弘 ×  田中 芳樹
なんて反則コンビもいいところなのだから、この程度の結果は当たり前だろう。

内乱により国を追われた王太子が祖国を奪還する大河ファンタジー作品が、
荒川弘にはまらないわけがない。

鋼の錬金術師」で魅せつけた、少年の冒険譚を描く実力が、見事に発揮された作品だ。

実は、少年漫画界にはこの手のいわゆる大河浪漫と呼ばれるジャンルの
大傑作が少ないので、貴重なコンビの登場に、マンガ好きとしては嬉しい思いである。

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第16位 ちーちゃんはちょっと足りない

ちーちゃんはちょっと足りない (少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!)/秋田書店

¥734
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オンナ編1位
BEST MANGA19位


このマンガがすごい!オンナ編で見事に1位を飾った
阿部共実」お得意のブラックユーモアが16位にランクイン。

デビュー作の頃から変わらず、
この手の気持ち悪い不安感を描くのが相変わらず得意な作者である。

ちなみにこの作品自体はレビューそのものが、若干ネタバレになってしまうので、
阿部作品未読の方は、読まずにまずは購入をオススメする。
阿部作品未読の方なら、まずは入門にオススメできる出来栄えだ。

改めて読み直すと、近年、放りっぱなしの風呂敷ばかりの作品が多い中、
ブラックユーモアというジャンルに真摯に取り組んでいる作者の姿勢には好感が持てる。

物語は、中学生にしては多少頭の足りなそうな主人公「ちーちゃん」が、
元気に飛び跳ねる、いわゆる女子高生ジャンルに見せかけた明るい導入部分と、
徐々に忍び寄る不穏な影の中盤、そして決定的に歪んでいく終盤の綺麗な構成になっている。

勿論、この作者の作品がハッピーエンドで終わる気は毛頭しなかったが、
良い意味でその期待に応えた、禍福どちらにも取れる結末が心地よい。
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第15位 僕だけがいない街
 

エンタミクス10位
オトコ編9位


2雑誌でベスト10以内という高評価を受けて、昨年よりも大幅に順位をあげた本作が15位にランクイン。

タイムスリップという特異な能力を持つ主人公が、
自身の過去に起きた、連続誘拐殺人事件に再び巻き込まれるSF奇譚。

ミステリー+タイムスリップという王道のサスペンス作品が、
最近、徐々に勢いを増してきた様相だ。

特に、現代と過去の時間軸の動かし方が素晴らしく、
徐々に歴史が変わっていく展開に、読者はカタルシスを覚えるわけである。
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第14位 東京タラレバ娘

 

オンナ編2位
BEST MANGA17位

本総合ランキングで、唯一の二作品ランクインを果たしたのは、
多作マンガ家「東村アキコ」。

仕事に明け暮れたアラサー女子が、そろそろ一人で生きていくのが辛くなり、
結婚したくても相手がおらず、といった、まさに逆シンデレラストーリーの王道ともいうべき作品。
オンナ編第二位も頷ける内容である。

読み始める前は、また東村アキコの雑な作品か、
と思わされるのだが、とにかく掴みが巧い作者で、瞬く間に1冊読み終えてしまった。

しかし、掴みは最高でも、締めは若干苦手なこの作者が、
本作もどのあたりでグダグダしてくるのかが見物である。
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第13位 かくかくしかじか

 

 


エンタミクス8位
ダヴィンチ50位
オンナ編7位


東村アキコのあざとさが惜しげもなく出されている
本作が、昨年に引き続き総合20以内にランクイン。

2年連続ランクインの作品は2作品のみなので、そこはスゴイ。

ここ10年。
マンガの実力とは別の次元で、
その名を世に広めたマンガ家をあげろと言われれば、
やはり「東村アキコ」を置いて他にはいないだろう。

それぐらいセルフプロデュースの上手い、不思議なマンガ家。

もともと自分がらみのネタやパロディが好きな作者だったので、
エッセイ系を描かせたら爆発するだろうなぁ、と思っていたら案の定である。

あざとい、実にあざとい。しかし読まずにはいられない。
そんな作品に仕上がっている。

ここ最近、完全に手なりと過去の蓄積でマンガを描いている東村アキコだが、
それでも本作は別格の面白さである。

それはやはり、恩師と過ごした厳しい日々が本物の経験だったからなのだろう。
どのような結末になるにせよ、完結まで見過ごせない作品である。

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第12位 ドミトリーともきんす

 

ドミトリーともきんす

ドミトリーともきんす

 

オンナ編9位
BEST MANGA1位

高野作品好きのBEST MANGAに推されて、本作が12位にランクイン。

評価が難しい作品である事は間違いないが、

個人的には
期待していたわりに、あまり楽しめなかった。残念である。

作者の「高野文子」は、ガロ系派閥の神様のような存在なので、批判するのはおこがましいし、
実際「黄色い本」等は素晴らしい傑作だと認識している。

ただ、本作は「マンガ」ではないのだ、残念ながら。

また付け加えると、高野文子」の病的なまでの、
絵を通して物語を読者に伝える癖が、ついに悪い方向に出てきている感じを受けた。

その意味で、マンガ絵や構図の論理的な分解が、限界近くまで進んでしまっているのが最後の短編だろう。
ここまで進むと、もはや、マンガというよりは、自然科学の一部になってしまっている。
そして、自然科学とマンガの融合は、まさに本作の趣旨となる、「詩と科学」の融合なのかもしれない。

ただ、やはりマンガは娯楽、という観点からみると、果たしてどうなのだろうか。
実際このレビューも、難しく書こうと思って書いているつもりはないが、
読み返してみても明らかにマンガのレビューとは思えない。

勿論、作者がマンガ世界の地平線の最先端を進んでいるのはわかるのだが、
それでもやはり、マンガには娯楽を求めてしまうのが、私個人の感想なのである。

そして、「黄色い本」にはそれが実現できていた気がするのだ。
その意味で、高野文子作品未読の方は、是非、その他の入門作品から入ることをオススメしたい。
作者も断り書きを入れているように、本作はマンガではないのだから。

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第11位 甘々と稲妻 

エンタミクス12位
ダヴィンチ24位
オトコ編24位

ちょっと本レビューは辛口なので、好きな人は読まない事。

妻を亡くした、数学教師の主人公とその子供が、
教え子の高校生と一緒に、ご飯を作って食べる。
最近流行りの子育て系と料理系の混在作品。

最近、年を取り過ぎたせいか、この手のジャンルについつい厳しくなってしまう。
どうにも、子供に対するリアリティの無さや綺麗すぎる描写が苦手である。

世の中子供が減り続けているのに、
よつばと」を始めとした、
この手の子供マンガ好きが多い現実は何なのか。
まぁ、無論「よつばと」自体は別格で面白いのは認めているところだが。

というわけで、昨今流行りの現代を舞台にした、
代わり映えの無いキャラクター達の終わらない日常を描いた
萌え要素をウリの一つにしているマンガがあまり好きでないわけである。
本作もせめてもうちょっとご飯が美味しそうだとなぁ。。。
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第10位 あれよ星屑 

オトコ編5位
BEST MANGA3位

2誌だけだがどちらもベスト5に入った本作が
総合ランキングの10位に入賞。

このクラスになると、読み始めた瞬間に既に面白い。

ゲイ専門誌出身のマンガ家に、連載を任せるあたり、
異端の新人発掘において、現在「ビーム」の右に出る雑誌はない。

戦地から帰ってきた復員兵の戦後を描く、
非常に難しいテーマに挑む意欲作。

現時点で単行本は2冊だが、今のところ、
導入となる戦後編、そして、回想の戦中編、
と素晴らしいテンポで進んでいる。

ゲイという特殊な世界を覗いてきた才能が、
戦争そのものではなく、戦争に至るまで、そして、
戦中における末端の人間の生活そのものの闇を、
無駄なく救いなく描ききっている。
そして、その無常さに、ひたすら相応しいこの画力。

この辺りは完全に才能の一言で済ませる問題であり、
対極に位置する凡作として
夏のあらし!を思い出させられた。

右か左かのイデオロギーではなく、
戦争の中にある何かをこのまま描き切れば、
間違いなくマンガ史に残る傑作。

時代が時代になれば、
検閲にあたる可能性すらある本作を楽しめる現代を喜びたい。

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第9位 五色の舟

 

 

 オトコ編6位
BEST MANGA2位



原作者「津原泰水」の傑作を「近藤ようこ」がマンガ化した本作品が第9位にランクイン。

しかし、この作品はスゴイ。

個人的には、今回の総合ランキングの最高傑作として本作を推したい。

多少マンガを読み慣れた人ならば、数ページ読んだだけで、
きっと本作の異様なまでの魅力が理解できるだろう。
そして、きっと最後まで、読まされてしまうだろう。
そんな迫力をもった傑作。

小説作品のマンガ化は、あまり好きでないのだが、
これは見事に成功した事例である。
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第8位 高台家の人々

 

エンタミクス9位
ダヴィンチ44位
オンナ編6位


ベテラン「森本梢子」の異色ラブコメ作品が第8位にランクイン。

冴えない会社員の主人公「木絵」が、
風邪で会社を4日休んでいる間に現れたのは、
海外支社帰りのイケメン社員の王子様。

と、ここまでは如何にも王道少女漫画だが、
その王子様が実は人の心を読めるとしたら。。。

王道の設定に異色の能力を加える事で、
何とも言えない味の作品に完成させたところがスゴイ。

特に、人の心が読めるというのは、読み切りや、
サブキャラクラスの設定には使いやすいが、
主人公クラスに持たせると相当物語作りが困難である事は容易に想像できるところ。
そこを、違和感なく読ませるベテランの構成力に、思わず脱帽の一品だ。

男女問わず読みやすい、無駄のない画風もウリの一つで、
男性の少女漫画入門編としても読みやすい作品だろう。
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第7位 進撃の巨人 

エンタミクス28位
ダヴィンチ1位
オトコ編23位


今更説明不要の本作が7位にランクイン。
ちなみに、昨年の総合ランキングから2年連続ランクインしているのは、
本作と第13位の「かくかくしかじか」のみ。

昨年に引き続き、相変わらず面白いのだから、
この結果も妥当なところなのだろう。

最近は、浦沢直樹よりはましなペースで、
世界の秘密が明らかにされているのでそのあたりにも好感が持てる状況である。

1冊読めば自分に合う合わないがすぐにわかる作品でもあるので、
もし万が一、未読の方がいれば、取りあえずは手に取っておくべき作品である。
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第6位 東京喰種

 

 
エンタミクス19位
ダヴィンチ18位
オトコ編12位


ヤングジャンプの看板作品が、第6位にランクイン。
ただ、今年のランキングの中で、これだけはちょっと。。。である。

内容以上に「今年」のランキングに入っているのが、全く納得がいかない。

原因は簡単で、今年本作が完結したため、ご祝儀的に入っている部分が多いわけだが、
普通に読むと、最終14巻で本作は「全く完結してない」
というのが、通常の人間の感想である。

もう、驚愕するほど完結していない。
謎を残して続編へ、というマーケティング上の理由で完結してしまった作品。
この手の商法は、あまりにひどい。

また、作品自体のクオリティの変遷も疑問が残る。

個人的な見解として、様々な名作のタマゴを、
中盤で強引にジャンプ系統に方針転換しては潰してしまう、
ヤングジャンプの編集能力に大いに疑問を持っているので、
東京喰種も同じ運命をたどったな、といった感想である。

今年無理に読む必要はないし、間違っても、
このマンガを大人買いするような駄遣いをするべきではない。
明らかに落としどころを見失っている作品である。
序盤は面白かったのになぁ。。。
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第5位 子供はわかってあげない

 

エンタミクス16位
オトコ編3位
BEST MANGA4位

モーニング出身の鬼才「田島列島」が、5位にランクイン。
しかし、この作者、確実に連載は巧くない。
ある意味、浦沢直樹の正反対にいる存在である。

モーニングを愛している私としては、
新連載時点から目をつけて読んでいたし、
キャラの動きとセリフのキレには正直感心していた。

ただ、物語が動き始めた中盤あたりから、
設定の妙な細かさと、コロコロ変わるキャラクター視点が相まって、
連載で読むには若干つらくなり、徐々に興味減少したところ、さらっと終わってしまった。
そんな印象の作品だった。
しかし、今回レビューの為、再度単行本二冊で読み直すと、
意外や意外、なかなかに、いやかなり面白い。

各誌の高評価も頷ける内容だった。

問題だったのは、連載で読む際の引きの作り方や、構成だったのだろう。
また、細い線で描いている為、淡い伏線が長期間の連載に耐えられない部分もあるのかもしれない。

上下巻通して読むには、面白さ十分である。

今回のランキング上位の中では、かなりマイナーな存在なので、
単行本から入られる読者も多いはず、その意味では、ランキングに取り上げられて幸運な作品である。

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第4位 ハイキュー!!


ハイキュー!! 1 (ジャンプコミックス)/集英社

¥432
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エンタミクス3位
ダヴィンチ4位
オトコ編15位


以前からジャンプ+バレーは相性が悪かったが、
ここにきてついに代表作に恵まれたようだ。
とにもかくにも試合シーンにおけるネームのセンスが抜群で、
一たび読み始めると、試合の興奮に引き込まれる事、請け合いである。

また、そんなセンスをみせる一方、
勢いだけでなく、論理的に試合展開を予測したり、
過去の主人公の経験が、現在の試合を左右する一瞬に活かされたり、
と左脳的な要素バランスよく埋め込んでいるあたりに、
作者の高い才能を感じさせられる作品だ。

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第3位 月刊少女野崎くん 

エンタミクス7位
ダヴィンチ8位
オンナ編5位

とにもかくにも、ギャグの切れが素晴らしく、どの4コマも面白い。
というか、4コマというより、少し横長の変形4コマスタイルを取ることにより、
物語のテンポに応じてトーリー漫画を読ませている雰囲気を出すことに成功している点がまずスゴイ。

また、登場キャラクターを全員色濃く作るのは表現が限られる4コマ世界の王道だが、
それにして全員常軌を逸しているこのキャラクター達のバランス感覚の悪さに、
全盛期の高橋留美子の才能を感じさせる。

そして、4コマ作品王道の徐々にキャラクター間の関係性を深めていく手法も抜群。
そんなちょっとしたキャラクター間の進展が読みたくなり、
ついつい笑いながら読み進めてしまうテンポの良さ。

加えて、ちょっとした下ネタも、いやらしくなく組み込めるセンス、
しかも、書いている作者は少女漫画出身というこの現実。

一体どうなっているのか、と小一時間ほど問い詰めたい作品である。
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第2位 魔法使いの嫁

 

エンタミクス6位
ダヴィンチ35位
オトコ編2位
BEST MANGA11位


作者の「ヤマザキコレ」は商業誌的に新人とはいえ、
この作品、決してフロックではない。

人身売買市場で魔法使いに買われた、少女「チセ」の冒険を描く幻想譚。
正直、そのタイトルから最近流行りの萌え系作品かと侮っていたが、全く違っていた。

かって、ハリーポッターを初めて体験した時、西洋人の描く幻想世界は、日本人の想像力の一段上の世界だな、
と感心したと同時に、若干の寂しさを感じたものだ。

しかし、それから約20年。
その時代のエンターテイメントを消化した日本人が、
ついに西洋人の持つ感性の世界を再現した
日本版ファンタジーを創造できるところまで辿り着いたのだなぁ、と感慨深い。

言葉では伝えにくいこの幻想世界を、
未読の方は是非読んで頂きたいものだ。

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第1位 聲の形
 

エンタミクス4位
ダヴィンチ29位
オトコ編1位
BEST MANGA12位

最後はあまりに有名かもしれないが、
聾唖の主人公を描いた本作が
4誌にランクインして見事に総合ランキングの1位となった。

この辺り、総合ランキングの難しいところで、
単に面白いかどうかというより、幅広い系統のランキングを集めているので、
王道的でもあり、かつ、現代のマンガ界に一石を投じる作品が上位に選ばれてしまう傾向にある。

その意味で、聾唖という難しいテーマを扱った、
本作が1位に選ばれたのは妥当ではあった。

ただし、マンガとしての面白さを問われると、
若干、週刊少年誌の持つスピード感には合わなかったかな、
という感触を受けずにはいられない。

思えば、「聾唖といじめ」という
圧倒的に今まで切り込まれてこなかった反響が恐ろしいジャンルの読み切りが、
圧倒的な人気を得た事から連載になったのだから、
日本のマンガ読者のレベルはやはり高くなったのだ。

ただ、マガジンという少年誌の英断とは裏腹に、
やはり週刊少年誌的なスピード感と
面白さが求められてしまうのも、また致し方なく、
それ故に、面白さと哲学の
二兎を追わなければならなかった本作は、
やはり全体を通して、ちぐはぐとした印象を残したのもまた事実であった。

しかし、それでも本作は成功だったと思いたい。

今まで聾唖と言えば、
山本おさむ」にのみ許されていた独壇場であり、
一種の純粋マンガ学問的な位置づけにあったわけだから
それを週刊少年誌という大衆ジャンルにまで展開させた功績はやはり大きい。

ちなみに本作も面白いが、
マンガ作品としての面白さとしてはやはり、
「わが指のオーケストラ」が至高である。

これを読まずに聾唖マンガは語れない。
この「聲の形」からの興味をきっかけに、
是非一読していただきたいものである。