その不思議な作風と、
独特のストーリー語りは、
様々なマンガが乱立する現代においても、
全く埋もれることのない
正にオリジナリティと呼ぶに相応しい
才能を持つマンガ家である。
そのあさり作品の代表作と言えば、
やはり本作カールビンソンを推したい。
幼い頃に両親を亡くした主人公コロナは
唯一の地球人。
何も知らない彼女は、
ロボットの父親
マリモのような姿の母親
そのほかの宇宙人達に大切に育てられ、
自分の出生を疑うことなく宇宙家族と共に暮らしていく。
けれども家族は、いつかコロナと分かれる日が来ると
覚悟しながら日々をすごす。
そんなシリアスな設定が時折顔をのぞかせながら、
基本は宇宙家族達のどうしようもない、
幸せと笑いに満ちたコメディを展開する。
奇妙さ、不安感、コメディ、家族愛
これだけのテーマをごった煮にしている作品は
そうはお目にかかれるものではない。
一つの作品の中に様々な感情を忍び込ませるこの手腕こそが、
あさりよしとおの力量なのだ。
一度読めば忘れない。
そんな作品を描くマンガ家の一人である。
未完な点だけが心残りである。