つれづれマンガ日記 改

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U-18 女子コーセー代表☆直井蝶

(2012年評)

那波マオ作品が面白い。
最近、どうしても彼女の作品を追ってしまう。


この作者の作品の良い点はやはり、
浪花節」ではないだろうか。
その絵柄や作品の舞台からは、
あまり縁がなさそうに見えるが、
物語の背骨を支えているのは間違いなく、
浪花節」の感性である。


浪花節」は、元々少年漫画が得意としていた要素で、
大ヒット作品は必ずこの基本を抑えている。

しかし、頭では理解できても、
いざ作品の中に落とし込もうとすると、
そう簡単には扱えない。
残念ながら作者の才能に依存せざるを得ない
マンガ家泣かせの要素だ。


本作は「女子コーセー」キャラクターの視点から、
世の中を痛快に切るというテーマの那波マオのデビュー作である。

読んで頂ければわかるが、
作者はこの「浪花節」を体得している。

「義理人情」の物差しが理解できていないと、
こういった類の作品は描けない。

強いてこの作者に対して厳しいレビューを書くとすれば、
どの作品も面白いが、どれか一つ際立って面白い、
という作品には出会えていない点だろうか。


また、どの作品も2、3冊で終わってしまっているのも残念な点だ。
(これは本人の意思ではないかもしれないが)

 

しかし、現時点で、

キャラが動かせ、
物語が作れているのだから、
メジャー入りまであと一歩だろう。
今のところ、「若者」と「恋愛」が主軸のテーマになっているが、
このジャンルは大化けが難しいジャンルでもある。

あと一つ、作者が本気で描きたいテーマに出会えば、
大ヒット作を作れる可能性は高い。

 

今、個人的に最も注目しているマンガ家の一人である。

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