女性ばかりが住むお屋敷に、
家賃1万円で住めるようになった男性主人公とくれば
昨今得意のエロコメ作品しか浮かばないが、
勿論「山下和美」が、そんなものを描くわけもなく。
謎の屋敷の地下室に住むのは、
御年102歳にして人生を未だに謳歌するエリザベス。
彼女の莫大な遺産を巡った、
恋愛と謎のホームドラマを描いた、異色の作品である。
ストーリーや構成等、
他作品よりもテンションが高めで、
作者が楽しそうに描いているのはよく伝わってくるが、
「柳沢」や「不思議な少年」ほどの
切れ味がないのも、また事実。
また、全4冊という事になっているが、
この作者の特徴ともいえる、
完結しているのかしていないのか
わからないラストは相変わらずで、
綺麗に完結している作品が好きな人には少し物足りないだろう。
「エリザベス」のキャラクターは素晴らしかったが、
あと一つ欲しかった、非常に惜しい作品である。