桑田乃梨子作品シリーズ。
桑田作品は2冊完結モノが多いのだが、
本作は珍しく1冊完結作品。
高校生ながら一児の父親であり、
妻には先立たれた主人公の物語。
そして、そんな主人公に以前から
恋心を抱いていた、妻の親友がヒロイン。
これだけ読むと、どれだけ暗いのか、
と思ってしまう設定だが、
桑田作品をご存知の方ならご承知のとおり
一切暗さはない。
というか、桑田乃梨子に暗い作品など期待してはいけない。
このほんわかとした幸せな雰囲気は
一体どうすれば生み出せるものなのか。
キャラクターが持つものなのか、物語自体が持つものなのか、
何より、特別大きな出来事や意外性のある展開が
一切なくても面白いのは何故なのか。
また、もう一つの桑田作品の特徴となる
脇キャラの存在も相変わらず秀逸。
まったく報われないこの脇キャラがいる事で、
主人公二人の幸せを際立たせている。
ただそんな構成や展開など難しいことは一切考えずに、
頭の中を空っぽにして読むべき作品だろう。
まさに「マンガ」と呼ぶにふさわしい娯楽作品。
桑田乃梨子が描いているマンガとは、そういうものなのだ。