つれづれマンガ日記 改

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黒髪のキャプチュード

(2012年評)
本日レビューするのはマイナー作品である。

今でこそインターネットの普及により、
マイナー作品にもそれなりに
日の目が当たるようになったが、
本作が連載されていた90年代前半は違う。
マイナー誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。

しかも、絵がマニアック。
それだけで読者の数は自ずと絞られていただろう。


しかし、これは読み逃してはいけない傑作である。


作者「見田竜介」は、商業成功的に言えば
「ドラゴン・ハーフ」が代表作だが、
マンガの質としては、本作が一頭地を抜く出来栄えだった。


セカイで唯一の地球人、
それ故に悪魔と呼ばれ、
幼い頃から迫害され続けてきた主人公キャプチュード。

けれども彼には武器があった。

本来ならば数十年の精神修行を経ねば
成れないといわれる精神の騎士を、彼は操る事ができたのだ。
迫害され続けた負の心を使って。

闘いに勝てば勝つほど、彼はセカイから憎まれ、
セカイ中の正義の使者が彼の命を狙う。

けれども、キャプチュードは闘い続ける。

後半の読者の予想を裏切る展開は見事だった。

確かに未熟な部分も多かったが、
作者の気迫がそれらを勝っていた。

そして最期の闘い、その後のキャプチュードの選択。

個人的には、本作のラストバトルは、
ファンタジー作品の中で1、2を争うお気に入りのシーンである。

オタク的な絵柄に騙されてはいけない。

当時マイナー雑誌で連載するには、
そういった引きがなければやっていけなかったのだ。

けれども、描きたかったテーマは本物である。
是非読んでいただきたい名作だ。

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