鬼才「福山庸治」といえば、マドモアゼル・モーツァルトだが、
そんな作者のオムニバス短編集。
文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞
との事だが、マンガとして面白いというよりは、
経済誌に連載されていた、
1コマ風刺マンガとしての評価が高いのかもしれない。
1コママンガ自体は取り立てて素晴らしい部分があるわけではなく、
鬼才が、多少の才能を削って描いた風刺的な作品集といったところ。
ただし、間に挟まれる短編には、
他の作者には描けない、確かに刺さる哲学があり、
知性や表現力において力強さを魅せつける。
この作者を独自の地位に押し上げている理由は、
このあたりの腕力にあるのだな、
という事を改めて痛感させられる作品集である。