つれづれマンガ日記 改

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西武新宿戦線異状なし

(2012年評)

正しい恋愛のススメ 」のような
オトナの恋愛マンガが女性系雑誌のお家芸なら、
男性系雑誌のお家芸は何か。

バトルモノはもちろんだが、
一つのジャンルとして、戦争モノを挙げたい。


とかく武器や兵器にはまる人種はいる。


本作は、突如内戦が起きてしまった日本を舞台に、
義勇兵を志した学生主人公を描いた物語である。

無論、「押井守」原作なのだから、
義憤に満ちた学生主人公を描いた作品ではない。

なんとなく人生に無目的で、
ここでなら自分が何かに関われるんじゃないか、
そんな学生が戦争という異状空間に身をおくことで、
ヒロイズムに浸りたがる。

けれども現実はそれほどやさしくなくて、
自分が馬鹿だと思っていた老兵達は、
予想以上に手練の強者で。


なんというか、まぁ
押井守」らしいとしか言いようがない作品だ。

この混沌とした空間。
シリアスとギャグをタイミングよく交える展開。

そして、物語の合間に哲学的な問いかけを挟み込むことで、
作品自体の質を向上させる手法。
色々展開が見えていつつも、
最後まで読まされてしまうエンターテイメント性。

 


面白さとしては中くらいだが、
押井守」と「戦争モノ」という組み合わせが好きな方は、
読んでみる価値があるだろう。

ちなみに本レビューを描くまで完全版の存在を知らなかった。
何が違うのかはわからないのであしからず。

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西武新宿戦線異状なし―完全版 (角川コミックス・エース)

西武新宿戦線異状なし―完全版 (角川コミックス・エース)