最初に断わっておくが、
まったくもってAKBファンではない。
しかし、本作は近年の少年マンガの中でも、
最高峰の一角ともいえるレベルで少年マンガだった。
特にラスト間際は泣かされっぱなしだった。
連載開始当初、マガジンで見かけた時は、
よくあるアイドルとコラボして短命に終わる作品
としか思っていなかった。
しかし、徐々に読み進めるにつれ、
漫画としてのクオリティとシナリオのレベルの高さに驚かされ、
中盤を超えるころにはすっかり、
マガジンの主力として最初に読むマンガになっていた。
読み進めてきて理解した事だが、
AKBグループそのものの仕組みが、
スポ根的で設定が完成しており、
何よりアイドルというジャンルそのものが、
マンガという媒体とマッチしていたことが、
本作の成功要因であったことに気づかされる。
単なるAKBの内輪話ではなく、
それぞれの実在のアイドルを
マンガのキャラクターとして抽象化している点も、
この作品が多くのファンを獲得した背景だろう。
そして、アイドルグループに男が混じりこむという
現実ではありえないファンタジーと、
AKBという、現実なのに若干マンガ的な存在を
巧い具合に融合させたところにこの作品の最大の妙味がある。
最終回の回収も、この中間点を使って
現実にはありえないが、マンガとしては最高に爽快な、
そんな大団円を描いている。
それにしても、秘密を抱える主人公という
根源的な時限爆弾を回収しきった腕前は見事だった。
おそらく、今後数十年レベルで、
このマンガを超える芸能界とのコラボ作品は現れないだろう。
それぐらい、芸能界とマンガのコラボは難しいのだ
作者「宮島礼吏」に敬意を表して、次回作をまた期待したい。
AKB49~恋愛禁止条例~(29)特装版<完> (プレミアムKC 週刊少年マガジン)
- 作者: 宮島礼吏,元麻布ファクトリー
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/03/17
- メディア: コミック
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