つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

半神

最近、萩尾望都対談集が出たので、
ついつい萩尾望都作品を読み返す日々。

マンガ好きならば一度は人から聞かれる質問が、
「どのマンガが一番面白いの?」だ。

そんな単純に序列がつけば、マンガ読みをやっていないわけだが、
それでも、一つ決めていることがある。

16ページ短編一本を選べと言われれば、この

「半神」

を推すと。


ポーの一族」「トーマの心臓」「11人いる」
等のほうが、知名度は高いのかもしれないが、
傑作短編という意味では後にも先にも本作を超える
マンガにはお目にかかったことがない。

萩尾望都の名前が私の中で不動の位置づけになったのも、
本作との出会いからだった。

一説では、16ページで物語は作れない、と言われた作者が
それなら作ってみせる、と思い創作した作品だそうだ。

本当に、昔のマンガ家の描く密度は恐ろしい。
限られたページ数の中で、物語を伝えるという力は、
残念ながら現代のマンガ家には失われてしまった能力だろう。

さて、さらに恐ろしいことに、
この「半神」はレビューが全くできない作品でもある。

多くの人が、あらすじを含めて、本作を賞賛しているが、
それらのレビューやあらすじを読んでも、
この作品の面白さは全く伝わらない。

仮に、本作の文章の部分だけを抜き取ってあらすじを
記載しても、まったく面白さが再現できない。

これは、本作が
「マンガ」というジャンルに特化した表現として
成立していることの証左でもある。


是非とも自分の手にとって、この感動を味わっていただきたい。
ちなみに、文庫版も手ごろでよいが、
絵を楽しむ意味で、サイズの大きいPerfect Selectionを
お勧めしたい。傑作「イグアナの娘」も含まれており、
萩尾望都短編を存分に楽しめる内容になっている。

まだ、この作品を読まれていない方々が、
うらやましい限りである。

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半神 自選短編作品集 萩尾望都Perfect Selection 9 (フラワーコミックススペシャル)

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