「那州雪絵」健在なり。
そう思わざるを得ない傑作。
往年のマンガ読みならば
那州雪絵の名前を聞いて浮かぶのは
名作「ここはグリーンウッド」であろう。
しかし、かの名作を輩出して以来、
彼女の名前を久しく聞かなかったのも事実である。
そこにきて、本作の登場。
やはり天才マンガ家の復活は嬉しいものだ。
グリーンウッド1巻に同時収録されていた、
短編ホラーを読んだ時から、
オカルトの才能を感じていたが、
やはり作者自身もその事に気づいていたようだ。
本作では現代風陰陽師の世界を通して、
オカルトや不気味さを見事に表現している。
ページをめくる度にひやっとする、
このスリルはただ事ではない。
また、絵がグロテスクでない点も高く評価したい。
絵で驚かすのではなく、コマ割りや、カットで
読者に緊迫感を与えているのだ。
素晴らしい手腕である。
そして、徐々にオカルト色を少なくしていき、
後半は前半部分で張った伏線を一気に回収にかかり、
物語はエンディングを迎える。
全8冊。
この作品を知らずにいるのは勿体無い。
願わくば知名度が低いこの作品が
多くの読者の手に取られる事を祈っている。
ちなみに、続編の「魔法使いの娘に非ズ」が続いているが、
話としては本作は一つの完結を迎えているので、ご安心を。
ただ、本作を読まれた方は間違いなく
続編にも手を出されるであろう。