やはり、マンガが上手い人間には
何を描かせてもそれなりに面白くなってしまうのだろうか。
本作は、作者よしながふみと思われる
主人公「Yなが」が色々な友人と
様々な美味しい料理店(実在)を訪ね歩いて、
他愛もない世間話をする、
ただそれだけの作品である。
しかし、どの話も登場人物も、
少しだけ物語として調理されていて、
並のルポマンガ家が描く作品とは
一線を画しているあたりは、さすがというところか。
「Yなが」を取り巻く日常や、
美味しそうな料理や、
色々見所のある本作だが、
その中でも、私が生涯忘れられない名言が本作にはあったので、
その言葉で今回のレビューを締めくくらせて頂く。
アシスタントの一人から、
「どうしたらそんなにおいしいお店を色々見つけられるの?」と、
聞かれた時だ。
Yながは答えた。
「あたしがこんだけ食い物に人生を捧げてきたんだから、
食い物の方だってあたしに少しは何かを返してくれたっていいと思うの」
マンガ読みにも同じことが言えるだろう。
至言である。