つれづれマンガ日記 改

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さよならもいわずに

この作品は、本当にレビューに向かない。

なぜなら、心ある人間ならば本作に
「面白くない」という烙印を押せないからだ。


作者上野顕太郎の最愛の妻との永遠の離別。

そのどうしようもない現実を作品にする事で、
自身の心を昇華しようと試みた作品。


しかし、その行為は生半な苦行ではない。

作中に現れる、作者の慟哭、哀切の表現は様々であるが、
一貫して、若干狂気にも満ちた雰囲気を備えている。

淡々とした彼女の死後の日常描写が、
この作品がフィクションではない
現実だという事を読者に突きつける。

自分達の性行為を盗撮したビデオがないか探す作者。
そんなモノでも良いから妻との思い出を見つけたい、
そんな作者の妄執に重たい本物の感情を感じさせられる。


ひたすら暗く辛い作品だが、面白いとか面白くないとかでは
本作は片付けられない。

これはそういう作品なのだ。

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