つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

c3_中編(15冊以内)

モリのアサガオ

マンガ文化の幅広さを感じさせる作品は多々あるわけだが、マンガが大人にとっても娯楽たりえると感じさせてくれる極めて深い作品である。タイトルの由来は、死刑囚を収監する刑務所=暗い森と、朝に突然呼び出され昼前には処刑される死刑囚=アサガオの二つ…

世界はみんなボクの為

なんだかんだで中堅どころとして、これだけ長い期間マンガを描き続けられているという事が、作者「斉藤倫」の実力を示しているのだろう。本作は、超自己中心的な性格でバスケが好きな「季一」と、幼馴染の「つかさ」の二人を描いたラブコメ作品。 女の子には…

花とみつばち

なんとも「安野モヨコ」らしい作品である。クラスのモテないグループに位置しながら、どうしてもモテたい男子高生「小松」が、ひたすら無様にもがいていく本作。男子高校生の持つ、リビドーなのか愛情なのかよくわからない思春期特有の恰好悪さを女性作者な…

MとNの肖像

M=マゾのヒロインと、N=ナルシストの彼氏という異質なキャラ設定で挑んだ「樋口橘」の初期作品。序盤は、性癖描写と画力のレベルがあっておらず、なかなかに読みづらい部分があったが、全6冊の中で、画力は確実に向上している。ストーリー全般も、典型的…

結婚しようよ

「りびんぐゲーム」で世に出た作者「星里もちる」の初期作品。どうしても結婚したい主人公「紺野雅寿」と、仕事に夢中で結婚にメリットを感じない彼女の「見城早苗」の二人の恋愛を描いたラブコメディ。ただし、ラブコメ系の中でもコメディが強みの作者の作…

行け!稲中卓球部

久しぶりに再読。今更ながら、「時代と寝た作品だったなぁ」と思わされた。 当時稲中にどれだけ笑わされたことか。正直、あれほどの衝撃を与えたギャグマンガは少なかった。 そして、傑作ギャグマンガの悲しい宿命でもあるが時を超えて読み返しても笑えない…

月影ベイベ

「坂道のアポロン」の作者「小玉ユキ」が好きなので、1巻から楽しみに読み続けていた本作も、全9冊でついに完結である。 富山県富山市八尾地域の伝統の踊り「おわら」を軸にした青春活劇だが、難しいテーマを選んだわりには安定感が抜群であった。 この辺り…

アタックNo.1

レビュー作品もついに500作品。せっかくなので少しレジェンド的作品をという事で、「浦野千賀子」が一時代を築いたアタックNo.1を選んでみる事にした。本ブログでは70年代作品にカテゴリーしているが、連載開始は68年で70年には連載終了という事で、60年代と…

JA~女子によるアグリカルチャー~

JA=農協に切り込んだ社会派作品、ではなく、よくある女子キャラ主人公による農業を描いた作品である。作者「鳴見なる」が農家育ちの「唐花見コウ」に協力を仰いだことから共作という珍しいスタイルで開始されていたが、メインは「鳴見なる」が作成しており…

失恋ショコラティエ

鬼才「水城せとな」が描いた、非常に評価が難しい作品。それが、本作「失恋ショコラティエ」である。長年片思いした女性に失恋したことをきっかけに、一流のショコラティエを目指す人生が始まるという導入は抜群に面白かった。そして、人妻になった彼女を追…

「鈴木みそ」をマンガ家として復活させたといえる作品。 それが、本作「銭」である。マンガやアニメの値段から始まり、自営業の値段、ペットの値段、エロの値段、そして、人の命の値段。世の中のお金にまつわるストーリーをひたすら描くその作風は、作者の得…

僕たちがやりました

ここ最近、連載マンガの中で最も続きが気になった作品。それが本作「僕たちがやりました」である。高校生のバカバカしい日常を描いたギャグ作品かと思わせる序盤と、誤って学校爆破事件を引き起こしてしまってからの、古谷実ばりの鬱展開のギャップで、圧倒…

魔法使いの娘ニ非ズ

十数年前に始まった、天才「那州雪絵」の復活を感じさせた魔法使いの娘シリーズも、ついに最終7巻で完結してしまった。この十数年、オカルト系作品としては、最高峰の面白さを保ちながら、毎年1冊程度の単行本を楽しませて頂いたものである。そんな作品の続…

チキタ★GUGU

これだけネットで情報が探せるようになると、知名度が低いのに面白い作品というのは、なかなか見つからなくなるわけだが、そんな中でもオススメしたいのがこの作品である。人食いの妖怪に一家を惨殺された主人公「チキタ」彼が生き延びた理由は、彼が滅多に…

やさしいセカイのつくりかた

研究する場所を失った若手天才数学者の主人公と、自身の異端の才能が周囲にばれることを恐れて、一般人と同じ程度の知能のふりをする女子高生の二人の出会いから始まる物語。 最初の設定だけを見ると非常に面白そうな展開が期待できた作品だが、最終的には非…

異端の経歴 ~ カリフォルニア物語

異端の才能と呼ぶに相応しい「吉田秋生」の存在を世に知らしめたデビュー作。カリフォルニアに住む高校生という設定自体から既に異端の作品ではあったが、当時、この手の世界を描かせたら右に出るものはいなかった「萩尾望都」の影響は強く受けており、序盤…

ビッグオーダー

こんなにがっかりする作品も久しぶりであったというのが正直な感想。 「えすのサカエ」の新作という事で、完結してから読もうと思っているうちに時間がたってしまったが、このたび、読了。 そのあまりのつまらなさに驚いた。 正確には、過去にヒット作を出し…

背すじをピンと!

全10冊近年のジャンプ作品ではこれ以上ないほど身の丈をわきまえた綺麗な終わり方の作品だった。作者「横田卓馬」は、元々WEB系マンガで名をはせていた人物であり、いつプロデビューするのかと期待されていたが、ジャンプデビューが噂されてから数年は、…

楽屋裏

ひたすら締め切りを破る作者「魔神ぐり子」とお面の担当「小柳」の苦悩の日々を描いた4コマ漫画。 まさに「楽屋裏」のタイトルに相応しく、様々な言い訳で締め切りを破る作者と、罵詈雑言で攻め立てる担当「小柳」のやり取りは最早漫才であり、完全にマンガ…

魔法遣いに大切なこと

「魔法遣いに大切なこと」2冊 「太陽と風の坂道」5冊 「夏のソラ」2冊。合計9冊が現時点までのシリーズの全てになる。基本的には全てのシリーズは、それぞれ別の時間軸とキャラクターで展開されている作品で、魔法遣いが公務員のようなサービス業になった世…

薬師

「かえんぐるま」「渡瀬希美」そして、現在は「渡瀬のぞみ」色々と名前の変わる作者だが、本作が代表作と言って良いだろう。交通事故で瀕死の重傷を負った主人公「瑠璃広吾妻」は、神様「ヤクシ」に憑りつかれ一命をとりとめる。しかし、その代わりに「薬師…

低俗霊MONOPHOBIA

低俗霊シリーズ第三弾残念ながら低俗霊シリーズの中では、本作が一番面白くない。原作は当然「奥瀬サキ」なわけだが、作画担当「刻夜セイゴ」は萌え系の絵柄を描く作者であり、この絵が「低俗霊シリーズ」のコンセプトと根本的にマッチしていない。低俗霊シ…

低俗霊DAYDREAM

「低俗霊」シリーズ第二弾低俗霊狩りの「奥瀬サキ」が原作となり、作画担当「目黒三吉」となった作品。SMの女王様と「口寄屋」という二つの職業を持つ異色の女性主人公を中心に、死者の世界を描く本作。 オカルト系作品の持つ「怖さ」の表現力に関しては、シ…

第七女子会彷徨

藤子作品が持つSF=少し不思議な世界に魅了された、作者「つばな」が描く、日常SF作品。「高木さん」と「金やん」の二人の女子高生主人公を描いた本作の不幸は、同世代の天才「石黒正数」の描く「それ町」と同じ時代に産まれてしまったことだろうか。 星新一…

ちゃぶだいケンタ

今となっては有名マンガ家となった「うめ」だが、小沢高広と妹尾朝子のコンビが、ここまで有名になるとは、本作の連載当初は、予想もできなかった。貧乏小学生と、クズ親父というキャラクターを舞台に、初期は完全に稲中の影響を受けたシュールなギャグマン…

逃げるは恥だが役に立つ

社会現象になった「逃げ恥」の原作も、ついに完結。以前も似たような事を書いたが、往年のマンガファンからしてみると、「海野つなみ」の作品が、ここまでメジャーになるとは予想だにしなかった。マンガ原作自体は、非常に人を選ぶ絵柄とキャラクターの作品…

神々の山嶺

「谷口ジロー」というマンガ界の至宝が亡くなってしまった。そんなわけで、本作を本棚から取り出してきたわけである。 日本における山マンガとしては、やはりこれがベスト1ではないだろうか。 ただひたすらに、自分の生きる証を残すために山に登る主人公「…

いつでも夢を

「原秀則」全盛期である。漫画家をマンガにした作品は、今でこそ出揃ってきた感じがあるが、90年代頃までにそのテーマを描いた作者は少ない。 「まんが道」という王者がいた為に、長年、新規参入が少なかったジャンルである。そして90年代という、マンガ…

青空にとおく酒浸り

引き続き「安永航一郎」 小さい時の事故から、体の中にマイクロマシンを飼っている超人女子高生の物語だが、その辺りの設定はかなり適当で、ひたすらドタバタ、下ネタバトルを繰り返す本作。 表紙の不細工な親父が最強という提供なキャラクター設定と言い、…

となりの怪物くん

近年、最もお気に入りだった学園ラブコメ。ストーリー、絵、キャラクター、と、どれをとっても弱点がなく、とにかくセンスの高い作品だった。 入学初日から喧嘩沙汰で学校にこない「春」という、となりの怪物くんを眺めるテンプレタイプの作品かと思って読み…