つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

c1_全1冊完結

わがままちえちゃん

二人の姉妹の片割れが自分の小さい頃に亡くなり、その幽霊と出会う場面から始まる本作。 そんな設定にも関わらず、作品のテンションは相変わらずの「志村貴子」である。ただ志村作品は面白い短編が多いので、氏の作品群の中では佳作といったところだろうか。…

一同、霊!

かつて作者「村上かつら」が、デビュー作「サユリ1号」を連載した時には、随分とスゴイ新人が現れたと思ったものだ。 そんな作者も、以降それほどヒット作に恵まれてはいないが、本作も中庸な作品だった。 内容的には、無職の草食系主人公が、昔の彼女に捨…

不安の立像

あとがきには、あまり怖くない作品を集めた、と書かれているが正直、「諸星大二郎」作品で怖くないものはあまりない。 特に、人間の得体のしれない感情を、メタ化して作品に落とす業がすさまじく、本作収録の「不安の立像」「子供の遊び」辺りが白眉である。…

こどもの体温/彼は花園で夢を見る

珠玉の短編である。 「よしながふみ」が一流処に名を連ねてから随分たつが、この文庫版に収録されている作品を描いていたころは、まだまだマイナー作家だった。 しかし、その時代から、この作者は変わらず、面白い作品を描き続けている。これは、実にスゴイ…

好きだけじゃ続かない

作者の鬼才は相変わらずだが、年齢を重ねるにつれて、人間が丸くなってきたのかもしれない。そう感じさせる表題作「好きだけじゃ続かない」 学生時代の初恋と、少しだけ語られるその続き。 よくあるテーマと言えばそれまでだが、ここまで巧く描ける作者は少…

桜の園

「河よりも長くゆるやかに」が少しひねりを加えた変化球だとすれば、これこそが、作者「吉田秋生」の真骨頂ではないだろうか。女子高生活の華やかさや明るさだけを描くお気楽な作品が多い昨今、昔の少女漫画は、真剣にこのテーマに取り組んでいたな、と思わ…

ナガサレール イエタテール

近年、最も注目に値する新人マンガ家を問われれば、本作の作者「ニコ・ニコルソン」と答えたい。 まだ「ストーリー漫画」を目指すのか「エッセイ系マンガ」でいくのかはわからないが、エッセイ系では十分に一流の仲間入りができるレベルだ。 本作は、東北大…

エマは星の夢を見る

ミシュランの調査員という秘密のベールに包まれた職業の経験者を原作に迎えモーニングで連載されていた「高浜寛」の最新作である。作者の作品が好きなので、非常に期待して読んだわけだが、良くも悪くも普通の面白さの作品だった。誠実な世界観を描く作者な…

皺 -shiwa-

珍しく海外作品のレビュー。日本のマンガ作品だけでも読み切れない現状なので、海外作品はなるべく控えているのだが、手を出してしまったのでレビュー。 表題作「皺」は老いと認知症をテーマにした作品。この濃密さと、淡々として、それでいて味わい深い内容…

出産の仕方がわからない!

「カザマアヤミ」のエッセイシリーズ第三弾である。旦那さん「紺野あずれ」との出会いを描いた「恋愛3次元デビュー」から読んでいるが、ついに子供の出産までたどり着いてしまい、なんとも時の流れを感じる作品である。ただ、旧作から読んでいるファンには面…

わたしはあの子と絶対ちがうの

「美人が婚活してみたら」がそこそこ面白かったので、作者「とあるアラ子」の過去作品に手を出してみた。過去の自費出版のコピー本を、加筆して出版されたという本作だが、まぁ、結論としては久しぶりに素人の作品を読んだな、といったところ。序盤の導入こ…

恋愛3次元デビュー

内容的には最近よくある、マンガ家自伝エッセイであり、その内容が自身の恋愛と結婚になっているだけなのだが、正直、この作者は頭がおかしい。(良い意味で) 確かにオタクをこじらせて30代で初めて他人と付き合うとこうなってしまう事もあるのかもしれない…

火事場のバカIQ

「榎本俊二」作品といえば、やはり「ムーたち」が最高傑作なのだが、一連の榎本作品の集大成という見方では、本作はなかなか力作ぞろいだ。 得意の下ネタ、不条理、言葉遊び、そして恐怖を見事に交えた傑作短編集になっている。 特に「IQ-005」は秀逸…

Cold apartment

絵本のような可愛らしいキャラクターと、グロテスクなホラーを混ぜ合わせた「財賀アカネ」の初短編集。マンガというよりは、絵が好きな人が書いた物語といった雰囲気で、ストーリーを楽しむというよりは、可愛い絵柄のキャラクターが、殺伐とした血しぶきが…

sunny サニー

作者「今村陽子」による短編作品。事故で両親を亡くした、兄夫婦の娘と同居する事になる主人公と、その娘の生活を描いた作品。絵柄は可愛らしいのだが、その分キャラクター設定はかなりマンガ的で、シリアスなドラマを描くにはいささか物足りない。ここまで…

座敷女

その独特の絵柄と作風で、異端のポジションにいる作者「望月峯太郎」そんな氏の作品群の中でも、異彩を放っているのが本作だろう。 夜中に部屋を訪ねるドアのノックの音がして、ドアをあけると、紙袋を持った大女が立っていて。。。 それまで多くの作品がわ…

晴れゆく空

「谷口ジロー」である。過労死寸前まで働き過ぎた結果、若者と交通事故を起こしてしまった主人公「久保田」。彼が事故から目覚めた時には、彼の意識は交通事故の相手の若者「小野寺」の中に混ざりこんでいた。こんな風に書くと、昨今のライトノベル的なあら…

脂肪という名の服を着て 完全版

これこそ、「安野モヨコ」と呼ぶべき「安野モヨコにしか描けない作品。太っていて気が弱いOL「花沢のこ」は、食べている間だけ、シビアな現実を忘れられる日々。それでも、徐々に日常は壊れ始め、ついに彼女はやせる事を決意する。やせられれば、やせさえす…

ひきだしにテラリウム

(2013年評)しかし、相変わらず残念なことに「九井涼子」と相性が悪い。わりと騒がれる事の多い作者だが、そこまで素晴らしいと思えないのが残念。今回は前2作に比べて、格段に画力の自由さが上がっているのは認める。縛られることなく作品作りが出来てい…

相羽奈美の犬

強烈に感想を描くのが難しい作品。さすが「松田洋子」である。 ヒロイン相羽奈美を追い回すニートの引きこもり主人公が、交通事故に巻き込まれて、結果、犬になり、彼女に飼われる事になる。 ここまででも相当強烈な展開だが、この主人公が人間に噛みつくと…

漫喫漫玉日記 深夜便

もはや、人生そのものがどこに向かっているのかわからない危うさを持つ、桜玉吉の日記シリーズ。 漫画喫茶に籠り続けて描かれた最新作。正直、完全に枯れきっている。 枯れた味わいというような状況を通り越して、枯れきったオジサンの日記になっている。 絵…

オンノジ

主人公のミヤコ一人が存在する不思議な世界。何をすることもない不思議な日常の中で、彼女は町でみつけた何かを「オンノジ」と名付ける事になる。 作者「施川ユウキ」作品独特の、シュールでほのぼのとした世界観と、不意に挟まれる独特の暗さ。 今までの発…

東京アサイラム

定年退職した主人公が、妻とどうしようもない理由で喧嘩をして家出。その後、公園で怪しい男に誘われた先は、3畳一間のボロアパート。まさにタイトルにあるアサイラム=避難所での不思議な生活を描いたシュールな作品。作者「太田基之」は、非常に地味な作風…

ストーリー

近年におけるショートストーリーの名手といえば、やはり「戸田誠二」の名前は挙がるだろう。決して巧いわけではないが、ショートストーリーを描くには欠かせない、幅広いキャラクターの表情と特徴の強すぎない画風。テンポの良いネームと、キレのある構成。…

strawberry shortcakes

「魚喃キリコ」の代表作と呼ばれる本作だが、個人的にもこの作品を推したい。女性の持つ内面世界を、4人の登場人物を通して、これでもかというほど繊細に美しく表現した本作。基本、ショートストーリーの連作ではあるが、少しずつ時間軸が動く中で、変わって…

魚喃キリコ短編集

女子サブカル系マンガ界に君臨する作者の一人「魚喃キリコ」による初期短編集。90年代後半から2000年代前半にかけての作品が収録されているが、面白いのはやはり、その作風の変遷だろう。序盤の収録作品「彼女のことを、いっこだけ」は、感性の部分では作者…

透明人間の恋

「町田くんの世界」で独自の路線を築いている作者「安藤ゆき」の初期短編集。少女マンガによくある恋愛オムニバス形式の作品集だが、キャラクターの持つ躍動感の高さが、その後の活躍を伺わせる。また、作者独特の絵柄や描写が魅力的で、昨今よくある少女マ…

足摺り水族館

不思議な作品を描く作者「panpanya」による、初期短編集。最初に収録されている「完全商店街」が白眉で、これは確実に読む価値のある傑作。 異様なまでに書き込まれた細部と、ぼんやりとした主人公の描画のギャップがたまらなく面白い。そしてその構成は、物…

さよならタマちゃん

近年のエッセイ系作品としては、「ナガサレール イエタテール」と双璧をなす名作。 35歳のマンガ家アシスタント「武田一義」が、突然宣告された睾丸癌。そして始まる闘病生活。 近年のマンガランキングでよくランクインしていたエッセイ系の作品は、悲劇と…

yeah! おひとりさま

「ワカコ酒」を読んだついでで、こちらも読んでみることに。 作者「新久千映」がおひとりさまで映画に行ったり、焼肉に行ったりと一人遊びをルポする作品。 目の付け所は良かったが、作品としてはまぁまぁ。どちらかというと「ワカコ酒」のほうが面白い。 た…

ブスだけどマカロン作るよ

その圧倒的なタイトルに思わず目を引かれたら、「カレー沢薫」だった。即購入、爆笑。 ここまで惜しげもなく自分の痛い過去をさらけだせる女性漫画家も少ない。これは、エッセイ系漫画に必要な才能だ。 表題作以外にも、いくつかの作品が含まれており、「な…

イエローバックス

引き続き「高浜寛」である。 ガロ系デビューに相応しい短編を綴った初期作品集。 海外のベスト・オブ・ショート・ストーリーを受賞したというのも良くわかる作品で、芸術性と儚さが多分に含まれた出来栄えである。しかし、マンガと芸術性というのは、些か難…

四谷区花園町

最近では、「ニュクスの角灯」が話題になったが、今、個人的に最も注目している作者がこの作者「高浜寛」である。 戦前の風俗ライターという珍しい設定の主人公を中心に描かれる本作だが、掲載雑誌の作風に合わせて描かれたエロ系の導入から始まって、徐々に…

ライチ☆光クラブ

カルト系として人気を博する作者「古屋兎丸」が、若き日に影響を受けた劇団「東京グランギニョル」による講演を、紙の上に再現した傑作。 多感な時期に見た作品の感激というものは、心の中には残っていても、外に出すことは難しい。そんな凡人の壁を乗り越え…

グッデイ

面白いの一言に尽きる。 短編の名手「須藤真澄」が、一段の上のレベルに達したと思わされる本作。 人が亡くなる前日に、体が真ん丸の球体に見える現象「玉迎え」この「玉迎え」という設定が、物語的にも、マンガ表現的にも非常に秀逸で、「石坂啓」の「I'm h…

ゆうれい談

大御所「山岸涼子」の描く、実話を元にした幽霊話である。山岸プロの元に集まるマンガ家達が持ち寄った、様々なゆうれい談を実話化した作品で、本格的な恐怖系の作品ではないが、実話と考えると、妙に背筋が寒くなる作品。しかし、それにしても登場する人物…

ナナカド町奇譚

一目見ればわかる独特な画風と、オリジナリティ溢れる世界観を描く短編の名手「須藤真澄」の作品。街に七か所の角がある不思議な街を主人公「なのは」が探検する、ミステリアスメルヘンである。 剥製の店、空を飛ぶ夢を持つ男、サボテンの花、不思議な銭湯。…

怪談人間時計

世の中には、どうにもカテゴリー分類できないマンガがあるわけで、本作「怪談人間時計」は間違いなくそれに該当する。当時、書店でこの作品を見つけた時のインパクトは凄まじかった。そして、中身を読んでまた驚く。とにもかくにも、カルトとしか言いようが…

アオとハル

「たまりば」の作者「しおやてるこ」が描く青春恋愛作品。前作の主人公「ハル」の学生時代を描いた作品だが、物語的にはつながりは無いので別々に読んでも全く問題ない。不器用なメガネ主人公「ハル」が、街で見かけた美少女「アオ」に魅かれていく導入部分…

ヒーローズ・カムバック

(2013年評)これはやはり素晴らしいの一言。 細野不二彦の企画のもと、小学館系の歴代のマンガヒーローが、東北復興支援プロジェクトとして復活した作品。 ギャラリーフェイク究極超人あーる伝染るんですサイボーグ009(島本和彦)うしおととら犬夜叉銀…

女の穴

(2013年評)女性のサガをテーマにしたオムニバス短編集。 悪くもないが特徴も少ない。西島大介のマンガ学校に参加されているようなので、その傍流に位置づけられるのかもしれない。 女性作家は、この手の作品が得意なので、その中で一歩抜きん出るのは大変…

このたびは

(2013年評)相変わらず短編を描かすと上手い作者「えすとえむ」による作品集。 三十路女性のお見合い結婚を描いた「ふつつかものですが」にはじまり、最後の表題作「このたびは」までどの短編も味わい深く面白い。 少し癖のある画風に騙されてしまうが、キ…

ニコ・ニコルソンのオトナ☆漫画

作者ニコ・ニコルソンの存在は知っていたが、まさかこれほど巧みなマンガ評論家だとは知らなかった。 2P見開きマンガで、マンガを紹介するというコンセプトの本作だが、どれも作品の特徴を見事に捉えており、下手なマンガ評論ブログ(当ブログ含)は必要な…

さよなら、カルト村

「高田かや」の描く、看板に偽りなしのエッセー作品第二弾。画風や構成も前作より洗練されており、作品としてのインパクトは当然前作より落ちるが、それでも、続きが気になっていた読者としては、満足できる内容になっている。それにしても、カルト集団と呼…

伊豆漫玉日記

知っている人は知っている。知らない人は全然知らない。そんな定番の桜玉吉「漫玉日記」シリーズ。往年のファンとしては、もはや、新刊がでるとパブロフの犬として購入してしまうので、面白いかどうかは二の次である。しかし、作者も五十半ばという事で、と…

田中圭一のペンと箸

待望の作品の単行本化という事で即購入。これは素晴らしい。パロディや下ネタで有名な「田中圭一」に届いた偶然のオファーから始まった本作だが、これは作者の最高傑作になったのではないだろうか。有名マンガ家の好きな食べ物を、本人にではなく、その息子…

カルト村で生まれました。

看板に偽りなしの作品である。マンガの歴史に伴い、様々なジャンルのエッセイ系作品が増えてきたわけだが、その幅広さも、ついにここまで来たか、と感慨深い。某〇ギシ会で幼少時代から青年期を過ごした後に、一般人となった作者「高田かや」による、カルト…

MASTERキートン Reマスター

年末なので、あの偉大なる作品の続編の話を。発売から随分とレビューまでに時間がかかったのは、本作に対する違和感の正体が長い間わからなかったからでもある。改めて時間をおいて、本編から通しで読んでみた結論だが、やはり本作の存在は「蛇足」だったと…

人間仮免中

(2013年評)各所で話題沸騰中の本作。 年末恒例のマンガランキング系作品の各ランキングの上位を総なめ。 総合点をつけるとすれば、この作品がNo1だったのではないだろうか。 しかし、その手の評価と反して本作がマンガとして優れていたかどうかは非常に…

日々我人間

久しぶりにAmazonを眺めていたら、「桜玉吉」の新刊発見!という事で即購入。玉吉信者としては、作者が死んでないだけで嬉しくなって読んでしまう本作だが、かつての作者の全盛期を知らない人が読んでどれだけ面白いのか全く不明。この辺りはエッセー系マン…