つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2010年代男性系

就職氷河期の呪い ~ ブルーカラー・ブルース

総合評価・・・3.00 「無職の学校」という職業訓練校を舞台にした作品が完結したので、似たようなジャンルの作品として本作を十年ぶりぐらいに読み返したが、当時の印象と変わらずとにかく重く息苦しい作品だった。そして、それこそが本作が描こうとした世界…

厄介物 ~ ゴーストライター

水木しげるで育った身としては、どうしても怪奇ジャンルの漫画が大好きなのでその手の作品はすぐ手に取ってしまう。という事で本作ゴーストライターを読んでみた。人の心を勝手に自動書記してしまう「伊勢よしの」と、ネクタイを硬化させる能力で怪奇と戦う…

氷河期とごはん ~ 一日三食絶対食べたい

総合評価・・・3.30 発表当時、第一話をネットで読んだときに、その完成度の高さと雰囲気の良さに驚いた作品。突如として氷河期になり食料が無くなってしまった現代日本を舞台に、ダメ男子「ユキくん」としっかりした少女「リッカさん」の二人が肩を寄せ合っ…

るーみっくわーるど後期の傑作 ~ 境界のRINNE

総合評価・・・4.00 うる星やつらに始まり、めぞん一刻、らんま1/2、犬夜叉と超ヒット作しか生まないマンガの神様、高橋留美子御大の作品レビューとなると、さすがに書く側も気合が入るというもの。本作、境界のRINNEは全40冊という事で犬夜叉に続くなかなか…

薀蓄料理漫画 ~ てんまんアラカルト

総合評価・・・3.38 さて、当たり前のように面白いの水準を毎回上げていく天才「小林有吾」による傑作「フェルマーの料理」がドラマ化するという事で、これはもう当然としか言いようがないだろう。それぐらい、フェルマーの料理は昨今の料理マンガの中では頭…

千手観音症候群 ~ 田中雄一作品集 まちあわせ

総合評価・・・3.34 なぜか検索数が多い作品なので、数年ぶりに読み直して記事をリライト。全体的に人間以外の生物と共生する社会があるとしたらの「if」の世界を粗削りながら描いている作品群だが、以下の作者巻末コメントにもあるように虫や巨獣のデザイン…

ポンコツロボコメディ ~ ぽんこつポン子

総合評価・・・3.54 作者「矢寺圭太」の「ずっと青春ぽいですよ」が最近お気に入りなので、同じ作者のぽんこつポン子のレビューを書くことに。頑固な独り暮らしのおじいさん「吉岡」のもとにやってきた30年前の型落ちメイドロボット「ポン子」、といういかに…

画力とマンガの天秤 ~ KEYMAN

総合評価・・・3.46 アメコミやアート的といったレビューが並ぶ本作だが、作品自体はそこまで大味の海外型作品ではなく、しっかり日本のファンタジーマンガである。ただし、非常に評価が難しい作品。特に画力の面の評価が難しい。とにもかくにも線の太さと濃…

変化する顔と物語 ~ 星野、目をつぶって。

総合評価・・・3.34 読み終わってもレビューに手を付けていない積んでる作品が多くなったので、多少振り返ってレビューという夏休みの宿題に取り組むことにする。 メイクをすると美少女に変身するヒロインの星野と、自分ではメイクできない星野を手伝うこと…

近年最高のSFジュブナイル ~ 彼方のアストラ

総合評価・・・4.18 最近はウィッチウォッチが山場に入っている篠原健太作品だが、スケットダンスもウィッチウォッチも好きだけれども、やはりマンガとしての完成度は本作「彼方のアストラ」が畢生の出来栄えであり、読み返すたびに圧倒される。ちなみに本ブ…

現実路線ファンタジー ~ 放課後!ダンジョン高校

総合評価・・・3.24 入学した離島の高校には、謎のダンジョンと怪物とお宝が・・・という、なかなか面白そうなファンタジー設定で始まる作品だが、正直、評価が非常に難しくわりと辛口レビューなのでファンの方はそっ閉じで。 さて、全11冊のうち8巻までの第…

元祖ジビエ料理 ~ 山賊ダイアリー

総合評価・・・3.52 こちらも久しぶりに書庫から引っ張り出してきて再読。やはり面白い。1巻の発売が2011年という事で、既に連載開始から10年以上が経過したことを考えても、本作が狩猟とジビエ領域のマンガとして当時最先端を走っていたことは間違いないだ…

ネット黎明期の傑作 ~ 師匠シリーズ

総合評価・・・3.82 恐怖短編やSF短編といった作品群が大好物のブログ主なわけだが、近年の短編オカルト作品の中では、最もお気に入りなのがこの作品。インターネット黎明期の2003年頃から原作者「ウニ」が2ちゃんねる掲示板等に投降した一連の原作小説がコ…

幻想の同棲生活 ~ ストレッチ

総合評価・・・3.44 OL慧子と女子大生の蘭の二人が、なんとなくキャッキャッウフフする同棲生活を眺めるという、よくある萌え系百合マンガのジャンルに「ストレッチ」というオリジナリティを加えた作品。とだけ書くとなんとも身も蓋もない説明になってしまい…

少年の友情再び ~ BIRDMEN(バードメン)

総合評価・・・3.48 あまり意識して書いたわけではないのだが、当ブログで良く閲覧されている記事が田辺イエロウ氏の「結界師」である。物語自体が大きく変遷しながら展開する長編作品なので、じっくりと腰を据えて読むのがお勧めな和風ファンタジーの大傑作…

オタク女子ジャンルの大傑作 ~ トクサツガガガ

総合評価・・・3.90 たまにだけれども、世間的に物凄く売れているとわかっていても、タイミングを逃して読んでいない作品というものがある。本作「トクサツガガガ」がその一つで、かなり初期から話題になっていたので、何度も目には入っていたのだが、完結し…

また名作が一つ・・・リボーンの棋士

総合評価・・・3.74 リボーンの棋士が全7冊でついに完結してしまった。打ち切りと思わざるを得ない中盤の急展開から、よくぞここまでまとめきった、という綺麗な終わり方だった。6巻の時点で次巻完結という衝撃の告知が出ており、これだけ面白いマンガをなぜ…

人外ラブコメディ ~ 実は私は

総合評価・・・3.56 最近、長期連載作品を完結してから読むことが多くなってきて、マンガを怠けている今日この頃。というわけで、本作も今更ながら読了。先にお断りしておくと人気作品だったかもしれないが、若干、辛口評価も入っているのでファンの方はご遠…

銀の匙 Silver Spoon

北海道の農業高校を舞台にした学園青春コメディ作品がやっとこさ完結したということで、全巻集めて読み直すことにした。作者「荒川弘」は言うまでもなく現代最高峰のマンガ家の一人で、「鋼の錬金術師」終了後に始まった本作の面白さと、そのジャンルを問わ…

hなhとA子の呪い

物凄く久しぶりに更新。 久しぶりすぎてはてなブログの書き方を忘れるレベル。 最近は純粋にマンガを楽しむ為にブログを書かずに、のんびり読む専門で暮らしていたのだが、本作を読んで久しぶりに書きたくなったので、記事にする事にした。内容としては、性…

マルドゥック・スクランブル

原作未読なのだが、各種のレビューを読む限り、原作の面白さを完全に再現したコミカライズとはいかなかったようである。近未来SFと残虐なサスペンスとシュールさを交えた世界観が、どうにも淡々として描かれてしまっており、それ故に、途中で挟まれるギャン…

あせびと空世界の冒険者

非常に丁寧に冒険ファンタジーを描いていた本作が、急遽10巻で完結してしまい、ショックでしばらくレビューを放置していたが、久しぶりに再読。COMICリュウ休刊のあおりをうけてしまったのかわからないが、急ピッチで今までの伏線を最終巻で回収しており、こ…

1/11 じゅういちぶんのいち

一時期話題になった本作を今更ながら読了。サッカーマンガというより、一人のプロサッカー選手の人生に関わった登場人物達を描いたオムニバス形式のヒューマンストーリーという構成の本作。特に、序盤の面白さは抜群で、ストレートすぎるほどの感動作品とし…

ハイスコアガール

作者「押切蓮介」の人生においても、忘れられない作品になったであろう本作もついに10冊で完結である。この作品の評価に関しては本当に難しい問題で、最終10巻の終わり方に関してはとても納得できるレベルではないのだが、仕方ないのである。なぜなら、この…

そしてボクは外道マンになる

田舎から出てきた新人漫画家「平松伸二」が、当時の過酷な少年ジャンプの世界で生きてのびていく体験を描いたフィクション自伝作品も4冊で完結である。作中、色々な過去のジャンプ関係者が登場した本作だったが、残念ながら、「鳥嶋編集長」の見立て通り、中…

だがしかし

だがしかしの最終巻が5月に発売されたので、レビューを書かなければなぁと思いながら、気がつけば10月である。駄菓子という前人未踏ながらも非常に可能性を秘めた設定を舞台に、マニアックな魅力のヒロイン「蛍さん」を登場させ、極めつけはタイトルが「だが…

常住戦陣!! ムシブギョー

Amazonのレビューが酷評だったので、全32巻も読む時間が無駄にならないか不安に思いながら読み続けたが、言われるほど悲惨な作品ではなかった。問題点としては、序盤からエロ描写が多い作品なのだが、その方面のファンがついたために、ラストのハーレムエン…

その「おこだわり」俺にもくれよ!!

「青春ヒヒヒ」といった狂気のギャグマンガを描いていた「清野とおる」が、まさか北区赤羽でエッセー漫画の大家になるとは夢にも思わなかった。そんな作者の異常な執着の集大成ともいえるべき本作。人生の些細な楽しみにこだわった人々、通称「おこだわり人…

ちいさこべえ

山本周五郎の原作小説「ちいさこべ」を元に、鬼才「望月ミネタロウ」がコミカライズした本作。原作は時代小説となっているが、本作はそれを現代版にアレンジして再構築した作品なのだが、このクオリティが何とも素晴らしい出来栄えである。特に望月作品の持…

ワニ男爵

最近、記事を書くのを怠けていて色々溜まってしまった。まずは個人的に最高に好きだったのに終わってしまって残念なワニ男爵から。この作品の何が失敗したかというと、間違いなく編集者の売り方のせいで、極限までにシュールギャグをとがらせていたワニとウ…