つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

2010年代女性系

羣青

作者「中村珍」の代表作である。女性二人による、殺人からの逃走劇を全3冊で描いた本作は、同性愛者としてカミングアウトしている作者ならではの視点や思想に満ちており、読者に圧倒的な熱量で迫ってくる。正直、面白い面白くない以前に思考を強制されるので…

金の国 水の国

久しぶりに改めて読み返したが、やはり「岩本ナオ」は素晴らしい才能である。新作「マロニエ王国と七人の騎士」には、まだ手が出せていないが、こちらも傑作になるのだろうか。ちなみに作品自体の感想は、以前書いたので、こちら。 mangadake.hatenablog.jp …

パレス・メイヂ

架空の日本の明治時代を描いた、身分違いの近代宮廷恋愛絵巻もついに完結である。「暴れん坊本屋さん」の「久世番子」に、まさかこんなマンガが描けるとは、正直、驚かされた。しかし、その世界観や設定の奥深さからは、様々な資料を調査したであろう事が伺…

虹色デイズ

虹色デイズも全15冊でついに完結である。作者「水野美波」は、初連載作品とは思えない安定した画力の持ち主で、男性4人女性4人という王道の学園ラブコメを見事に完結させた点をまずは評価したい。この手のジャンルでよくある話だが、4人が4人とも幸せになる…

#こじらせ処女の初彼氏

Amazonでの評価が叩かれ過ぎていて笑える。最近よくあるWebから派生したエッセー漫画ではあるが、確かに叩かれるに値するレベルで、絵も物語も構成も下手で、なかなかに味わい深い一品である。ただ、最大の問題は、この主人公はそれほど人生をこじらせておら…

IPPO

何とも独特の作品を描く作者「えすとえむ」の作品。 イタリアの祖父の元で腕を磨いた若き靴職人が、日本で注文靴の店を構えることから物語りは始まる。 作者得意の少し鬱蒼とした雰囲気が、靴職人の世界の雰囲気になじんでいながらも、主人公キャラクターが…

わがままちえちゃん

二人の姉妹の片割れが自分の小さい頃に亡くなり、その幽霊と出会う場面から始まる本作。 そんな設定にも関わらず、作品のテンションは相変わらずの「志村貴子」である。ただ志村作品は面白い短編が多いので、氏の作品群の中では佳作といったところだろうか。…

坂本ですが?

作者「佐野菜見」が描く近年トップクラスの謎のシュールギャグ漫画。 とにかくスタイリッシュに何事も成功させる謎のキャラクター「坂本くん」の学校生活を描いた異端の作品。 正直、こんな頭のおかしいシュールギャグを4冊も続けられたこと自体が偉業であり…

好きだけじゃ続かない

作者の鬼才は相変わらずだが、年齢を重ねるにつれて、人間が丸くなってきたのかもしれない。そう感じさせる表題作「好きだけじゃ続かない」 学生時代の初恋と、少しだけ語られるその続き。 よくあるテーマと言えばそれまでだが、ここまで巧く描ける作者は少…

ナガサレール イエタテール

近年、最も注目に値する新人マンガ家を問われれば、本作の作者「ニコ・ニコルソン」と答えたい。 まだ「ストーリー漫画」を目指すのか「エッセイ系マンガ」でいくのかはわからないが、エッセイ系では十分に一流の仲間入りができるレベルだ。 本作は、東北大…

ゆかりズム

偶然だが、本日も前世作品のレビューである。作者「潮見知佳」は、「ゆららの月」から始まる一連のシリーズが代表作だが、本作も、なかなか見劣りしない作品である。産まれた時に、体に刀傷の後を持った主人公と、彼の江戸時代の過去生に絡んでいた人々が徐…

エマは星の夢を見る

ミシュランの調査員という秘密のベールに包まれた職業の経験者を原作に迎えモーニングで連載されていた「高浜寛」の最新作である。作者の作品が好きなので、非常に期待して読んだわけだが、良くも悪くも普通の面白さの作品だった。誠実な世界観を描く作者な…

出産の仕方がわからない!

「カザマアヤミ」のエッセイシリーズ第三弾である。旦那さん「紺野あずれ」との出会いを描いた「恋愛3次元デビュー」から読んでいるが、ついに子供の出産までたどり着いてしまい、なんとも時の流れを感じる作品である。ただ、旧作から読んでいるファンには面…

わたしはあの子と絶対ちがうの

「美人が婚活してみたら」がそこそこ面白かったので、作者「とあるアラ子」の過去作品に手を出してみた。過去の自費出版のコピー本を、加筆して出版されたという本作だが、まぁ、結論としては久しぶりに素人の作品を読んだな、といったところ。序盤の導入こ…

恋愛3次元デビュー

内容的には最近よくある、マンガ家自伝エッセイであり、その内容が自身の恋愛と結婚になっているだけなのだが、正直、この作者は頭がおかしい。(良い意味で) 確かにオタクをこじらせて30代で初めて他人と付き合うとこうなってしまう事もあるのかもしれない…

Cold apartment

絵本のような可愛らしいキャラクターと、グロテスクなホラーを混ぜ合わせた「財賀アカネ」の初短編集。マンガというよりは、絵が好きな人が書いた物語といった雰囲気で、ストーリーを楽しむというよりは、可愛い絵柄のキャラクターが、殺伐とした血しぶきが…

sunny サニー

作者「今村陽子」による短編作品。事故で両親を亡くした、兄夫婦の娘と同居する事になる主人公と、その娘の生活を描いた作品。絵柄は可愛らしいのだが、その分キャラクター設定はかなりマンガ的で、シリアスなドラマを描くにはいささか物足りない。ここまで…

月影ベイベ

「坂道のアポロン」の作者「小玉ユキ」が好きなので、1巻から楽しみに読み続けていた本作も、全9冊でついに完結である。 富山県富山市八尾地域の伝統の踊り「おわら」を軸にした青春活劇だが、難しいテーマを選んだわりには安定感が抜群であった。 この辺り…

さよならソルシエ

(2013年評)久しぶりの酷評なので、ファンの方は読まない事。当初、連載が始まった時点では、私はこの作品を避けていた。なぜなら、作者「穂積」の作品だからだ。 内容的には凡庸に見えた「式の前日」があれほど売れた理由は、今まで女性マンガを手に取って…

喰う寝るふたり住むふたり

結婚しないで同棲生活が続き、気が付けば8年が経過した頃から始まる男女の日常物語。内容自体は普通だが、1つの話を常に男性編と女性編の2つの視点から描くという構成が抜群にはまり、人気作品となった本作。 常に1話を2つ書き続けるのだから、作者「日…

失恋ショコラティエ

鬼才「水城せとな」が描いた、非常に評価が難しい作品。それが、本作「失恋ショコラティエ」である。長年片思いした女性に失恋したことをきっかけに、一流のショコラティエを目指す人生が始まるという導入は抜群に面白かった。そして、人妻になった彼女を追…

透明人間の恋

「町田くんの世界」で独自の路線を築いている作者「安藤ゆき」の初期短編集。少女マンガによくある恋愛オムニバス形式の作品集だが、キャラクターの持つ躍動感の高さが、その後の活躍を伺わせる。また、作者独特の絵柄や描写が魅力的で、昨今よくある少女マ…

足摺り水族館

不思議な作品を描く作者「panpanya」による、初期短編集。最初に収録されている「完全商店街」が白眉で、これは確実に読む価値のある傑作。 異様なまでに書き込まれた細部と、ぼんやりとした主人公の描画のギャップがたまらなく面白い。そしてその構成は、物…

yeah! おひとりさま

「ワカコ酒」を読んだついでで、こちらも読んでみることに。 作者「新久千映」がおひとりさまで映画に行ったり、焼肉に行ったりと一人遊びをルポする作品。 目の付け所は良かったが、作品としてはまぁまぁ。どちらかというと「ワカコ酒」のほうが面白い。 た…

やさしいセカイのつくりかた

研究する場所を失った若手天才数学者の主人公と、自身の異端の才能が周囲にばれることを恐れて、一般人と同じ程度の知能のふりをする女子高生の二人の出会いから始まる物語。 最初の設定だけを見ると非常に面白そうな展開が期待できた作品だが、最終的には非…

アヴァール戦記

「群青」で名をはせた作者「中村珍」によるアヴァール物語。 物凄くファンタジー色の強い表紙はフェイクで、本作は、アヴァール=けちをテーマにしたドキュメンタリー作品である。 内容的には、絵を物凄く凝って描くと、アシスタントさんの代金や食費等も含…

四谷区花園町

最近では、「ニュクスの角灯」が話題になったが、今、個人的に最も注目している作者がこの作者「高浜寛」である。 戦前の風俗ライターという珍しい設定の主人公を中心に描かれる本作だが、掲載雑誌の作風に合わせて描かれたエロ系の導入から始まって、徐々に…

グッデイ

面白いの一言に尽きる。 短編の名手「須藤真澄」が、一段の上のレベルに達したと思わされる本作。 人が亡くなる前日に、体が真ん丸の球体に見える現象「玉迎え」この「玉迎え」という設定が、物語的にも、マンガ表現的にも非常に秀逸で、「石坂啓」の「I'm h…

低俗霊MONOPHOBIA

低俗霊シリーズ第三弾残念ながら低俗霊シリーズの中では、本作が一番面白くない。原作は当然「奥瀬サキ」なわけだが、作画担当「刻夜セイゴ」は萌え系の絵柄を描く作者であり、この絵が「低俗霊シリーズ」のコンセプトと根本的にマッチしていない。低俗霊シ…

迷子屋

「木村りん」の初連載作品。精神が肉体から離れて迷子になると、人は記憶を徐々に失っていく。そして、記憶を失ってさまよっている人間の心を肉体に戻すための手助けをしてあげる主人公「迷子屋」 なかなか面白そうな設定の作品だったが、いかんせん、初連載…