つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

2000年代男性系

おせん

漫画界には8割の手塚派と2割の水木派がいる、との名言を残した水木派の作者「きくち正太」の代表作である。 老舗料亭の若女将「おせん」は、普段は酒ばかり飲んでいるが、書道・陶芸と幅広い芸術の腕を持ち、特に料理の腕前は天才的という看板女将。 そん…

NHKにようこそ!

原作「滝本竜彦」の小説を作画「大岩ケンヂ」でコミカライズした、アニメ化もした有名作品。 ひきこもり歴4年の主人公佐藤君は、大学を中退し、無職で人生行き詰まり中。 そんな彼の元に、何故か美少女「岬」が登場し、佐藤君をひきこもり状態から社会復帰さ…

神戸在住

鮮やかな神戸の街を舞台に、主人公の女子大生「辰木桂」の大学生活を私小説風に描いた傑作。トーンをあまり使わずに丁寧に描かれた実在の地域や名所と、そこを舞台に動き回る登場人物たちの群像劇は、希薄ながらも重厚な大学生活のモラトリアムな時間を、読…

月光条例

異論は多数あると思われるが、個人的には「月光条例」が、藤田作品の中で一番好きかもしれない。 まず、設定が素晴らしかった。創作者なら誰もが二の足を踏むであろう、お伽噺という世にも困難なテーマを舞台に、よくぞこれだけの物語を作り上げたことか。 …

裁判員の女神

勿体ない作品である。原作は「家裁の人」を描いた法廷マンガの名手「毛利甚八」と、作画は「大使閣下の料理人」を描いた「かわすみひろし」のコンビであり、それなりに名作を描いた二人なわけだが、この二人を組み合わせようと思った編集者の意図がわからな…

榎本俊二のカリスマ育児

さすがに「榎本俊二」である。 昨今、世の中にあふれているマンガ家の育児エッセイマンガとは一線を画している。 これだけシュールに自分の子供を描けるのは、ギャグマンガ家が最も得意とする、客観視の力が大きいのだろう。 また、父親という観点で育児を眺…

神様ドォルズ

古いしきたりのある村から逃げ出した主人公と、それを追ってきた女の子。 村に古くから伝わる謎の人形「案山子」とその闘いに再び巻き込まれる主人公。 作品全体に若干のオタク感はあるものの、全12冊で綺麗にまとまっているので及第点。 勿体ないのは、作品…

ラッキー

「村上かつら」作品である。 クラスの友達とあまり打ち解けられていない、小学生の主人公「祐太」が押入れの中で見つけた、犬型ロボットのラッキー。 亡くなった母親が飼っていた、思い出のラッキーと暮らすことで、徐々に自身も成長していく主人公、といっ…

R.O.D - READ OR DIE

本を愛し、本に愛される愛書狂の主人公「読子・リードマン」原作「倉田英之」のライトノベル作品を、「山田秋太郎」がコミカライズさせた本作だが、基本的にはマンガというよりアニメ映えする構成の作品になっている。特に主人公が操る、「紙」という能力の…

モリのアサガオ

マンガ文化の幅広さを感じさせる作品は多々あるわけだが、マンガが大人にとっても娯楽たりえると感じさせてくれる極めて深い作品である。タイトルの由来は、死刑囚を収監する刑務所=暗い森と、朝に突然呼び出され昼前には処刑される死刑囚=アサガオの二つ…

A-BOUT!

A-BOUT!に関して書くとすれば、マガジン編集部が本当に勿体ないことをした、という一言に尽きる。 本作は、連載当初こそ勢いだけのバカヤンキーマンガだと思われていたが、そのバカさ加減こそ、喧嘩ヤンキーマンガの命だという事がわかる大傑作だった。特に…

リトル・フォレスト

東北地方のとある村の中の、小さな集落「小森」そこで暮らす主人公「いち子」 大自然の中で描かれる四季の暮らしと、美味しそうな食生活。 全てが便利ではないと頭では分かっていても、都会の人が憧れてしまう田舎暮らしを、自然マンガの天才「五十嵐大介」…

神のみぞ知るセカイ

長期連載作品は、終わり方を見誤るケースが多いが、その手の失敗が少ないといえばやはりサンデーである。その意味で本作は、見事なまでに綺麗な終わり方の作品だった。 ラブコメという、マンガ界最高の競争率を誇るジャンルの中で「ギャルゲー大好きの主人公…

天体戦士サンレッド

溝ノ口発の真っ赤なヒーローの物語も全20巻で完結である。 アニメ化等凡そ想像できないほど、ひっそりとマニアの間だけで読まれていた小規模川崎ギャグ漫画が、ここまで伸びる作品になるとは、作者「くぼたまこと」自身も予想だにしなかったであろう。悪逆主…

純潔のマリア

「もやしもん」の作者というイメージが強くて忘れていたが、「週間石川雅之」の作者でもあったのだな、と思い出させられた。 イングランドとフランスの100年戦争の時代に生まれた魔女マリアは、自分の嫌いな戦争をなくすために、世界中を相手に自分勝手に戦…

晴れゆく空

「谷口ジロー」である。過労死寸前まで働き過ぎた結果、若者と交通事故を起こしてしまった主人公「久保田」。彼が事故から目覚めた時には、彼の意識は交通事故の相手の若者「小野寺」の中に混ざりこんでいた。こんな風に書くと、昨今のライトノベル的なあら…

ストーリー

近年におけるショートストーリーの名手といえば、やはり「戸田誠二」の名前は挙がるだろう。決して巧いわけではないが、ショートストーリーを描くには欠かせない、幅広いキャラクターの表情と特徴の強すぎない画風。テンポの良いネームと、キレのある構成。…

サルチネス

久しぶりに「古谷実」に泣かされた。 一世を風靡した「稲中」以来、創作を模索してきた作者。 「ヒミヅ」以降は、ひたすら人生からの問いかけを哲学する事が課題となり、エンターテイメントとしてのマンガは、置き去りになっている感もあった。 しかし、本作…

「鈴木みそ」をマンガ家として復活させたといえる作品。 それが、本作「銭」である。マンガやアニメの値段から始まり、自営業の値段、ペットの値段、エロの値段、そして、人の命の値段。世の中のお金にまつわるストーリーをひたすら描くその作風は、作者の得…

ライチ☆光クラブ

カルト系として人気を博する作者「古屋兎丸」が、若き日に影響を受けた劇団「東京グランギニョル」による講演を、紙の上に再現した傑作。 多感な時期に見た作品の感激というものは、心の中には残っていても、外に出すことは難しい。そんな凡人の壁を乗り越え…

魔法遣いに大切なこと

「魔法遣いに大切なこと」2冊 「太陽と風の坂道」5冊 「夏のソラ」2冊。合計9冊が現時点までのシリーズの全てになる。基本的には全てのシリーズは、それぞれ別の時間軸とキャラクターで展開されている作品で、魔法遣いが公務員のようなサービス業になった世…

第七女子会彷徨

藤子作品が持つSF=少し不思議な世界に魅了された、作者「つばな」が描く、日常SF作品。「高木さん」と「金やん」の二人の女子高生主人公を描いた本作の不幸は、同世代の天才「石黒正数」の描く「それ町」と同じ時代に産まれてしまったことだろうか。 星新一…

デカポリス

かなりのマイナー作品を、久しぶりに読んでレビュー。週間少年チャンピオンで、ひっそり連載していた刑事ギャグマンガ。2000年連載なので、約17年前になるわけだが、以後、「岩塚卓」名義の作品は出ていないので、既にマンガ界からは去ってしまったのだろう…

ゴーゴー♪こちら華咲探偵事務所。 / はなたん―華咲探偵事務所―

この作品を読んだ頃には、「渡辺航」がその数年後に「弱虫ペダル」で大ブレイクするとは、思いもよらなかった。女性探偵所長「華咲サヤ」と、所長に振り回される新人「小金田一」という組み合わせで進む物語だが、まだまだ作者が描きたい領域が見えない時代…

ちゃぶだいケンタ

今となっては有名マンガ家となった「うめ」だが、小沢高広と妹尾朝子のコンビが、ここまで有名になるとは、本作の連載当初は、予想もできなかった。貧乏小学生と、クズ親父というキャラクターを舞台に、初期は完全に稲中の影響を受けたシュールなギャグマン…

神々の山嶺

「谷口ジロー」というマンガ界の至宝が亡くなってしまった。そんなわけで、本作を本棚から取り出してきたわけである。 日本における山マンガとしては、やはりこれがベスト1ではないだろうか。 ただひたすらに、自分の生きる証を残すために山に登る主人公「…

青空にとおく酒浸り

引き続き「安永航一郎」 小さい時の事故から、体の中にマイクロマシンを飼っている超人女子高生の物語だが、その辺りの設定はかなり適当で、ひたすらドタバタ、下ネタバトルを繰り返す本作。 表紙の不細工な親父が最強という提供なキャラクター設定と言い、…

天上の弦

山本おさむ得意の、半フィクション半伝記系作品。 東洋のストラディバリと呼ばれた伝説のバイオリン製作者の凄まじい半生を描いた名作。 無名の主人公が、夢も希望もない人生から立ち上がり、たった一人でバイオリン製作という魔物と戦い続ける姿は圧巻。 や…

それでも町は廻っている

11年続いた日常系マンガの王者が、最終16巻でついに完結した。感無量である。「石黒正数」という作者は、短編集などでも才能を発揮しているのだが、如何せん、少し鋭すぎる部分があり、それ故に毒のある作品を創る。しかしそんな才能を丸子町商店街という舞…

二十面相の娘

非常に良い意味で、独特の作品である、莫大な遺産を継いだ令嬢と、怪人二十面相の物語で、クラリスとルパンの続きを描いたかのような作品。 衝撃的な展開といい、設定といい、なかなかに続きが気になる序盤に比べると、中盤以降がやや弱いのは、巻末で作者が…

魔法先生ネギま!

本作は、明らかに当時の赤松健の最高傑作だった。 当初連載が始まったときは、著しく嫌悪したこの作品。クラスメイト全員がヒロインなどと、商業主義もいい加減にしてほしいものだ、と感じた。 しかし、読み進めてみると、意外に、いや想定外に面白かったの…

P2! let’s Play Pingpong!

掲載雑誌の読者層にあうかどうか、というのは非常に重要な問題である。 その意味で、掲載雑誌を間違った為に早期打ち切りを招いたのがこの作品だろう。 卓球という地味目なテーマでありながら、作品を盛り上げることに成功しているのは、偏に作者のオタクっ…

ネイチャージモン

近年、新刊が出るのを常に楽しみにしていた作品。 オオクワガタと肉 この2つを軸にひたすら熱い持論を展開する寺門ジモンの生き様は、近年珍しいほど暑苦しい。 そして、その暑苦しさを「刃森尊」の画力がこれ以上ないほどさらに暑苦しく演出している。 あ…

完全版 水木しげる伝

敬愛する水木御大の半生を綴った大傑作。昨今は、「ゲゲゲの女房」等のブレイクで、水木しげるの名前も十分に世の中に知れ渡る事になったが、一昔前の水木しげるの知名度はやはり低かった。 しかし、売れようと売れまいと水木御大は変わらず。 そんな事を感…

グミ・チョコレート・パイン

大槻ケンヂの半自伝的小説をマンガ化した作品。 小説は未読だが、原作とマンガはかなり異なるようだ。 クラスの中では地味な存在で、けれども自分は特別な何かを持っていると信じる主人公。 そんなありがちな妄想と、何も変わらない現実。 それらを打ち壊す…

デラシネマ

「星野泰視」の描く映画現場を舞台にした作品。 戦後間もない時代背景の中において、映画というエンターテイメントがいかに重要な存在であったかを痛感する。 また、マンガという舞台にこれほど似合う素材も少なく、この分野をさらに開拓した作品に出会いた…

げんしけん

二代目完結記念という事で、まずは初代の感想から。 現代視覚文化研究会略して「げんしけん」と呼ばれるオタクの大学生が集まるサークルでの日々を描いた超有名作品。 オタクの世界の楽しい側面と、オタクの世界の恋愛事情という2つのテーマを全9冊で完結…

ぼくらの

「鬼頭莫宏」作品には、圧倒的に欠落しているものがある。それが「死」へのリアリティーだ。 すべてのキャラクターが、あたかも死を受け入れて、死を平然と乗り越えようとする。 そんな妄想に取り付かれたフィクション世界。その辺りの感覚は、「なるたる」…

自殺島

努力の天才「森恒二」がまた名作を残してしまった。自殺を試みる人間の扱いに困った政府が、自殺者を島流しにする島 「自殺島」最近の凡百の作者ならそこから、くだらないバトルロワイヤルや、仕掛けだらけで先が見えないミステリーを展開するところだが、や…

エンジェルお悩み相談所

「惑星のさみだれ 」の「水上悟志」が送るプチファンタジーコメディ。 公園のベンチでお祈りすると、自分の悩みを解決してくれる天使が現れる。 悩みの幅は様々で、仕事、お金、恋の悩みと依頼は様々ふってきて、エンジェルのおじさんは適当に頑張って悩みを…

東京家族

奇才「山崎紗也夏」が描く不思議な家族の物語。 作家「原田壮」が、社会的名声を手にし始めた頃、昔の女性が子供を連れて彼の家を訪れる。 若い頃に彼女に苦労をかけた事を思い出し、彼は償いの意味で、子供を引き取る決心をする。 そして、新しい生活が始ま…

幻覚ピカソ

「古屋兎丸」の天才的な画力に裏付けられた作品。それが本作である。 主人公ピカソは絵を描くのが大好きな高校生。 そして、そんな彼に唯一声をかけてくれるヒロイン千晶。 しかし、ある不慮の事故で、彼女は死んでしまう。 その日を境に、ピカソは人の心の…

JIN―仁―

幕末の時代にタイムスリップする、現代の脳外科医、南方仁。 現代の医学の知識と江戸の病を描いた本作は、まさに設定の妙が光る作品だ。 医者モノと、幕末モノはどちらも沢山の作品があるがそれが組み合わさると、前後に類がない作品になるのだから、まだま…

君たちに明日はない

非常に惜しい作品である。リストラ代理人という、魅力的なテーマを開始当初は真正面から描いていたが、徐々に連載雑誌の方向性に進み、大人の男女の話ばかりになってしまった。原作小説は未読であるが、明らかにこれよりかは面白いのだろう。マンガ全2冊の終…

てるてる天神通り

神様が住む不思議な商店街天神通りを舞台にしたファンタジーラブコメ作品。全5冊を通して、とにかくほんわかした作風で、物語、キャラ、画力と安定しており、最初から最後まで安心して読めるタイプの作品である。ただ、その分非常に無難でテンプレ感が否め…

正直侮っていたのが、この「岳」という作品だ。 山マンガの最高峰はやはり「神々の山麓」である。そこは譲れない。 それに比べると、この「岳」というマンガは、どうも軽い気がした。 特に、超人的な主人公「三歩」の存在が、山というものの偉大さ、恐ろしさ…

おじいちゃんは少年探偵

昭和30年代に活躍した少年探偵ダッシュくんは、宿敵ドクロ博士のワナにかかり、50年の間氷づけにされてしまう。そして、自分の孫になるはずのヒロインひかりによって現代に目覚めさせれたダッシュくんは、再びドクロ博士との戦いに挑むのだが。。。 いく…

ナンバMG5 ナンバデッドエンド

チャンピオンの常連「小沢としお」といえば、やはり「フジケン」だが、本作も相当面白い。 筋金入りのヤンキー一家に生まれて、関東制覇した兄貴のように、全国制覇を両親から期待される主人公「剛」。 けれども、彼は中学のころから、ケンカばかりに明け暮…

ポテン生活

忘れないうちに書いておく。そんな、忘れられてしまうような薄さと、必ず読んでいた面白さの両立。それがポテン生活。 断言するが、作者「木下晋也」は天才である。 当時、MANGA OPENが本作に大賞を与えたときに、その審査員の慧眼に恐れ入ったが、…

医龍

世に医者マンガは数多あれど、この切り口で描かれた作品はなかった。 それが「医龍」である。 主人公「朝田龍太郎」天才的なオペの手腕を持つ外科医だが、日本の大学の医局に嫌気が差し、世界の舞台で活躍していた男。 そして、そんな奔放な男を、自分の夢=…