つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

2000年代女性系

夕凪の街 桜の国

広島と原爆の物語この手の話はイデオロギーと歴史観に多分に左右されるので、面白い面白くないでは、ないと思われる。 読みたい方は読んでみると良い。個人的には作者が背伸びしていない感じが良い。 「広島在住だが、原爆とは縁遠かった」というこうの史代…

プライド

資産家の娘に生まれ、美貌と美声を兼ね備えた主人公「史緒」と、対照的な育ちながら、野望と策略でオペラ歌手になる夢を果たそうとする、もう一人の主人公「萌」 タイトル「プライド」の通り、二人の女性のプライドを交えながら、それぞれの人生を描く作品。…

ハロー・グッドバイ

(2012年評)3D彼女完結なので、那波マオ作品レビューを。 完成度の高さでは、「彼女ができたから。 」の短編、読んでいての楽しさでは「姫ママ!」等がお勧めだが、挑戦しているテーマの難易度では本作が一番面白い。 初めてつきあった彼氏にふられて、や…

アンダンテ

こどものおもちゃの「小花美穂」の描く全3冊のラブストーリー。血の繋がらない兄妹と、そこに突然同居する事になる美少女。 三人を繋ぐ主題は音楽。 ありがちな題材を、そこそこの力量で煮込んだ、佳作といったところか。 題名、アンダンテ(ほどよくゆるや…

eensy-weensyモンスター

カレカノの「津田雅美」による全2冊の短編ラブコメディ。 むしろ、この程度の長さの作品のほうが、20冊近く付き合わされるより気楽に読めて良いのかもしれない。 内容自体は普通のラブコメディだが、前半の女性主人公の視点と、後半の男性主人公の視点から…

エビアンワンダー

(2012年評)久しぶりに良質な短編ファンタジー作品を堪能させていただいた。さすがに、おがきちか、「Landreaall」で冴え渡る手腕は伊達ではない。 悪魔と契約し願いを叶えてもらう代わりに、悪人を殺すことでその魂を地獄に送る主人公フレデリカ。 フレデリ…

荒川アンダーザブリッジ

中村光は、やはりギャグマンガ家なのだなぁ、改めて感じさせられた作品。他人に借りを作れないエリート「リク」と自称金星人のホームレス「ニノ」そして、河童村長をはじめとした彼らを取り巻く、荒川河川敷の不思議な住人達。キャラクターと設定が抜群の為…

ホタルノヒカリ

(2012年評) ドラマ化も果たした説明不要の有名作品。いわゆる「干物女」の物語である。無論、「干物女」という名称は素晴らしかったが、内容もキャッチフレーズに負けない大変面白い作品だった。 コメディテンポの良さと、20代後半の女性主人公という、あ…

アラクレ

育ての両親が亡くなり、身寄りが無くなった主人公のもとに名乗り出てきたおじいちゃんは本物の任侠の人だった。 そんなトンデモ設定から始まる女子高生の日常を描いた学園ラブコメ。 新しい学校で、お嬢様と勘違いされるが、たまに出てしまう地の啖呵は本職…

あのこにもらった音楽

勝田文の作品が面白い。 幼い頃に両親を亡くした少女と、その娘を引き取った家の一人息子、天才ピアニスト蔵之介の物語。 といっても、天才ピアニストの部分は、本作ではほとんど重要でなく、どちらかというと兄妹のように育った二人が、お互いの必要性をか…

Daddy Long Legs

(2012年評) 「あのこにもらった音楽 」の作者、勝田文の短編集。 淡々とした作風だが、やはり面白い。 表題作の「Daddy Long Legs」は、あしながおじさんの和風版だ。収録されている短編の中では、やはりこの作品が一味深い。 作者はあとがきで、ネタ…

レタスバーガープリーズ.OK,OK!

(2012年評)昨日レビューした「忘却の旋律 」がタイトルで得をしている作品だとすれば、この作品は真逆である。完全にタイトルで損をしている。 正確には、松田奈緒子作品が全般にわたってタイトルで損をしている。 この作者の作品は間違いなく、もっと売れ…

うさぎドロップ

(2012年評)最近やっと最終の10巻が発売されたのでレビュー。とはいっても10巻は番外編で、物語としては9巻目でほぼ決着が着いている本作だが。 かなりの有名作品なので、いまさら説明不要と思われるが、簡単なあらすじを。 訃報を受けて祖父の家を訪れた「…

彼女ができたから。

(2012年評)那波マオ推しが続く今日この頃。 このペースで同じ作者の作品をレビューしているのは、当ブログでは初かもしれない。 本作は、「恋愛オムニバス」作品。収録4作、どれも面白いが、やはり表題作「彼女ができたから。」が頭一つ抜けている印象。 あ…

U-18 女子コーセー代表☆直井蝶

(2012年評) 那波マオ作品が面白い。最近、どうしても彼女の作品を追ってしまう。 この作者の作品の良い点はやはり、「浪花節」ではないだろうか。その絵柄や作品の舞台からは、あまり縁がなさそうに見えるが、物語の背骨を支えているのは間違いなく、「浪…

寿町美女御殿

女性ばかりが住むお屋敷に、家賃1万円で住めるようになった男性主人公とくれば昨今得意のエロコメ作品しか浮かばないが、勿論「山下和美」が、そんなものを描くわけもなく。謎の屋敷の地下室に住むのは、御年102歳にして人生を未だに謳歌するエリザベス…

しゃべれどもしゃべれども

同名の原作小説を漫画化した作品。やはり、原作がついた時の、「勝田文」の安定感は抜群だ。修行中の噺家「三つ葉」が、ひょんなことから話すのが苦手な人達を相手にした、落語教室を開くことになる物語。こういった、少し地味ながらも人情味のある舞台を与…

キラメキ☆銀河町商店街

(2012年評)商店街に暮らす男女6人の幼馴染達が巻き起こす青春ラブコメ作品。 作品的には至極王道。良くも悪くも、予想を覆すような展開はなく、予定調和的に物語は進んでいく。 だが、そこがいい。 マンガには読むタイミングというのがあって、この類の作…

のだめカンタービレ

のだめカンタービレ クラシック音楽という既存の作品の少なかったジャンルで一世を風靡した、二ノ宮知子の大出世作である。 とにもかくにもこの作者のマンガはキャラクターが活き活きと動き回る。 特に素晴らしかったのはやはり主人公「のだめ」の存在だろう…

雨無村役場産業課観光係

(2012年評) 最近久しく出会わなかった、素直に面白いと思えた作品。 「町でうわさの天狗の子」<で一躍ブレイクした感のある岩本ナオだが、本作も劣らず素晴らしい出来栄えだった。 故郷の村役場に就職した主人公銀一郎だが、村に若者は3人しかいない状態。 …

愛がなくても喰ってゆけます。

やはり、マンガが上手い人間には何を描かせてもそれなりに面白くなってしまうのだろうか。 本作は、作者よしながふみと思われる主人公「Yなが」が色々な友人と様々な美味しい料理店(実在)を訪ね歩いて、他愛もない世間話をする、ただそれだけの作品である…

新世紀エヴァンゲリオン鋼鉄のガールフレンド2nd

(2012年評) ちょっと異色の作品かもしれないが、古本屋で目に入ってなんだか懐かしかったのでレビュー。同名のPCゲームを題材にした、いわゆる「学園エヴァ」作品だ。アニメ放映から10年近く経った後に、少女マンガ誌で連載されていたのだから、エヴァンゲ…

九月病

(2011年評)シギサワカヤ作品2つめ。 兄妹の近親相姦 同僚との恋人とはいえない関係妹の売春元恋人のリストカット とりあえず、描きたかったであろう歪んだ空想を色々詰め込んだ作品となっており、混沌としている。 面白い話もあれば、若干その感性につい…

ママはテンパリスト

(2012年評) とりあえず、最終巻が発売され完結したので書くことに。 育児エッセイマンガは数あれど、この作者ほど息子をネタにしてしまった母親はいないのではないだろうか。 ギャグマンガ家の宿命とはいえ、物凄い潔さである。 愛息「ごっちゃん」が大人…

高校デビュー

中学時代に野球部に全力を傾けた主人公「長嶋晴菜」は、高校生になったら素敵な彼氏を作って幸せな毎日を送るべく恋愛の高校デビューを目指すのだが。。。 物語の導入部で、主人公が何かの舞台にデビューするという展開は昔からあるテーマである。 基本的に…

青空エール

吹奏楽部をテーマにした本作も全19冊で無事完結。高校デビューも別の意味で完成度の高い作品だったが、「河原和音」のマンガとしてはこれがベストではないだろうか。名門吹奏楽部に入部した初心者の主人公「小野 つばさ」がひたすらトランペットに打ち込むと…

コミック☆星新一午後の恐竜

今回は若干珍しいタイプの作品となる。 本作は、天才星新一のショートショートをコミカライズした作品。 様々な作者が参加しているが、有名どころではやはり志村貴子だろうか。 作品も「生活維持省」と、氏の作品の中でも有名どころをマンガ化している。 し…

敷居の住人

なんともいえないダラダラした高校生の男女関係を描いた傑作。 本作の白眉はやはりヒロイン菊池ナナコの存在ではないだろうか。 美少女で女性受けが悪くて、中学時代はイジメにあっていたヒロイン。 文字で書くのは簡単だが、これをキャラクターに起こすのは…

愛すべき娘たち

女性心理をテーマにしたオムニバス形式作品としては、本作が私のNo1お勧め作品といえる。 2話目だけは、構成、内容共に低評価だがその他の話は完璧である。 よしながふみ独特のセンスあるコマ割。 キャラクターが無言でも伝わってくる心理描写。 心の内…

Real Clothes

働く女性をテーマにした作品としては、さすがベテラン槇村さとる、面白い内容に仕上げている。 そもそもマンガ家業が所謂サラリーマンとは一線を画している事からも、この手の働く主人公の作品を描くのは案外難しいものなのだ。 本作は百貨店に勤める主人公…