つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

1990年代男性系

兎 野性の闘牌

完結まで20年である。あまりに長すぎた。90年代後半に颯爽とあらわれた、麻雀マンガの大傑作。作者「伊藤誠」が描く魅力的な描線は、当時の麻雀マンガのクオリティを明らかに超えていたことが思い出される。また、動物になぞらえた超能力をもつ、魅力的なキ…

不安の立像

あとがきには、あまり怖くない作品を集めた、と書かれているが正直、「諸星大二郎」作品で怖くないものはあまりない。 特に、人間の得体のしれない感情を、メタ化して作品に落とす業がすさまじく、本作収録の「不安の立像」「子供の遊び」辺りが白眉である。…

無限の住人

作者「沙村広明」の代表作にして、長年、アフタヌーンを支えていた時代活劇。 家族を惨殺された少女「凛」と、彼女の復讐のために雇われた不死の男「万次」の長い復讐の旅路。 とはいえ20年に渡る、あまりの超長期連載に、中だるみ感がなかったとは言えな…

マザー・ルーシー

ペンネームが色々と変わる作者「沖さやか」の初期作品。掲載していたヤングサンデーで回収騒ぎを起こした連載「マイナス」の次に発表された本作だが、一言でいえば振り切れている。ひたすら楽しく、SEXしたいだけの日々を過ごす、主人公ルーシーが、突如…

座敷女

その独特の絵柄と作風で、異端のポジションにいる作者「望月峯太郎」そんな氏の作品群の中でも、異彩を放っているのが本作だろう。 夜中に部屋を訪ねるドアのノックの音がして、ドアをあけると、紙袋を持った大女が立っていて。。。 それまで多くの作品がわ…

僕らはみんな生きている

これは、「山本直樹」の最高傑作と呼べるレベルの作品ではないだろうか。もちろん原作があるので、全てが作画担当の「山本直樹」の手柄ではないが、原作とは異なる味わい深いキャラクターといい、原作者が褒めるラストの演出といい、作者の才能がそこかしこ…

行け!稲中卓球部

久しぶりに再読。今更ながら、「時代と寝た作品だったなぁ」と思わされた。 当時稲中にどれだけ笑わされたことか。正直、あれほどの衝撃を与えたギャグマンガは少なかった。 そして、傑作ギャグマンガの悲しい宿命でもあるが時を超えて読み返しても笑えない…

薬師

「かえんぐるま」「渡瀬希美」そして、現在は「渡瀬のぞみ」色々と名前の変わる作者だが、本作が代表作と言って良いだろう。交通事故で瀕死の重傷を負った主人公「瑠璃広吾妻」は、神様「ヤクシ」に憑りつかれ一命をとりとめる。しかし、その代わりに「薬師…

精霊使い(エレメンタラー)

90年代に連載された伝説の作品であり、絶筆宣言後、しばらく消えたマンガ家になっていた作者「岡崎武士」の代表作である。第一部完という形で終了していた本作だが、「レッツラグーン」でマンガ家業を再開した事から、本作も、再編集特別版として日の目を見…

チューロウ

中学浪人という斬新な設定をテーマにしたベテラン「盛田賢司」屈指の名作。90年代にこの作品を発表して以来、作品を創り続けている作者だが、20年後の最新作で、同じ中学浪人をテーマにした作品に回帰したのは、やはり、それだけ思い入れがあったのだろう。…

いつでも夢を

「原秀則」全盛期である。漫画家をマンガにした作品は、今でこそ出揃ってきた感じがあるが、90年代頃までにそのテーマを描いた作者は少ない。 「まんが道」という王者がいた為に、長年、新規参入が少なかったジャンルである。そして90年代という、マンガ…

SHADOW SKILL 影技

24年である。完結まで24年。途中何度となく連載雑誌が休刊になり、流石にもう完結は無理かと諦めていたが、結局24年かけて完結させてしまった。まさに修練闘士(セヴァール)並のしぶとさである。 しかし、それだけ雑誌を変えても本作が続いていたのは、やは…

怪談人間時計

世の中には、どうにもカテゴリー分類できないマンガがあるわけで、本作「怪談人間時計」は間違いなくそれに該当する。当時、書店でこの作品を見つけた時のインパクトは凄まじかった。そして、中身を読んでまた驚く。とにもかくにも、カルトとしか言いようが…

いいひと

「高橋しん」の出世作。 スポーツメーカーの「ライテックス」に就職を希望する主人公の「北野優二」。 彼の特徴は「いいひと」であること。そして、現実のサラリーマン社会ではこの特徴が周囲とのギャップを見せることになり。。。 どこまで計算されて作った…

防衛漫玉日記

(2012年評) ふと思えば、随分と「桜玉吉」の姿を見かけていない。 鬱病マンガの最高峰が、「幽玄漫玉日記 」だとすれば、本作はその日記シリーズの始まりの作品である。 まだまだ、画風、作風共にエネルギーがあふれており、読者の笑いを取ろうという姿勢…

とっても!ラッキーマン

十週打ち切り。それは、少年ジャンプにおける名誉の戦死。 およそこのレベルになると、第一話を読んだ時点で、続かないな、とわかる。 そして、その読みが外れることは殆ど無い。 けれども、多くの読者が長期連載や映画化を予測できなかったであろう偉大な作…

はるかリフレイン

その絵柄に覚えあり、という事で本屋で見かけて購入。いやぁ、懐かしい「伊藤伸平」絵柄の古さが何とも言えず、まさに90年代を感じさせられる作品である。物語自体はいたって単純な、タイムリープジャンルなわけだが、この懐かしさは何とも言い難い。逆に、…

ギャンブル王子 嵐

故「中島徹」先生といえばギャグ漫画の大御所であり、代表作はやはり「玄人のひとりごと」だろう。しかし、個人的にはこの「ギャンブル王子 嵐」を最高傑作に置きたい。 日本の中学に転校してきた「英国のギャンブル王子」その名の通り、毎日毎日ひたすらギ…

日本ふかし話

誰の記憶にも残っていないようなマイナー作品を書いてみる。 鬼が怖くて鬼退治をやめる桃太郎。焼饅頭が好きで拳銃を撃ちまくる犬。高飛車でお金好きの女性サルノビッチ(猿)変装が得意なキジ。 そんなどうしようもない一行が昔話の中を旅する道中記。 心底…

サイコドクター

人の心の病巣を描いた傑作。 カウンセラー楷恭介の元には、様々な心の病気を抱えた患者が訪れ、サスペンス色を含みながら物語は展開する。 マンガ的な演出が過剰ではあるが、心理学を学んでいるわけではないので、娯楽作品としてはこの方向で正解だっただろ…

GS美神 極楽大作戦!!

連載開始から25周年という事で、文庫版が刊行されている時の流れに驚きを禁じ得ない。90年代序盤に颯爽と登場した、言わずと知れた「椎名高志」の大出世作。 バブルの世相をよく反映した主人公美神と、ゴーストスイーパーという舞台は見事な組み合わせだっ…

流星課長

「どんな満員電車でも 必ず座って帰る伝説の中間管理職」 それが流星課長 ロシアからの刺客や、総理大臣を相手にしても流星課長は必ず座って帰る。 とりあえず、これほどバカバカしいマンガには、そうはお目にかかれない。レビューを読むより一読しろ、とい…

うしおととら

「藤田和日郎」の、いや少年マンガの最高峰の一つとして名高い大傑作。 それが「うしおととら」 確かに、これほどまでに熱量を感じさせる作品は稀だ。 うしおととらを名作足らしめる理由はいくつかあるが、その一つが、長期連載にもかかわらず無駄がない事で…

虹色とうがらし

あだち充作品は、確かにどれも似たような顔と似たようなキャラクターである。 特にタッチ以後は、長期連載はあっても大傑作はつかめていないのが実情だ。 しかし、ひとつだけ推しておきたい作品がある。それが本作虹色とうがらしだ。 日本の江戸時代に似た、…

神聖モテモテ王国

サンデーと言えば、週刊少年誌で最も優等生な作風である。 それ故に、異端の作品は少なく、全体的にこじんまりとした作風が集う欠点を持つ。 そんな連載陣の中で圧倒的な異端児ぶりを見せつけ、サンデー史にその名を残したのが本作である。 漫画家達の間でも…

遥かな町へ

画力でしか表現できないマンガもある。そんな事を感じさせてくれる数少ないマンガ家それが、「谷口ジロー」だ。 「神々の山麓」では、その圧倒的な描写力から、登山の世界を描き出し、「孤独のグルメ 」では、サラリーマンの何気ない日常をこれ以上ないほど…

私立樋渡高校COMICS

90年代後半といえば、オタク系の作品が、マンガ、アニメ共に増殖しつつあった時代だが、その世相を見事に反映した、オタク系COMICSが本作である。 漫研所属ながら、自前の技術でビームサーベルを作成して、高校の番長に君臨する主人公「安八」 そん…

ガンバ!Fly high

オリンピックシーズンだったので。数少ない体操マンガ。その中でも有名作品といえばやはり本作だろう。 主人公藤巻は、逆上がりもできないような素人。しかし、次第にその才能を開花し物語の舞台はオリンピックにまで広がっていく。 まさに王道少年マンガ。…

湘南純愛組!

週刊少年マガジン史上においても、その知名度において上位に君臨するキャラクターは、やはり、本作の主人公「鬼塚英吉」ではないだろうか。 当時のマガジンにおける、「カメレオン 」や「特攻の拓」など、ヤンキー系作品の中でも一際目立つ、「面白さ」と「…

東京ラブストーリー

まさに、一世を風靡したという表現が相応しい、「柴門ふみ」の出世作。今でこそ発表する作品の量や質から、作者の知名度も随分落ちてしまったが、この時代における著者の存在感は圧倒的であり、まさに「時代と寝た」稀有なマンガ家の一人であった。「東京」…

物の怪らんちき戦争

(2012年評)本作はいわゆる妖怪モノ。水木しげる御大のファンとしては、妖怪作品は基本抑えてしまうのだが、なかなか名作には出会いづらい。 以前、別作品でも評したように、妖怪=水木作品の為、その縛りから逃げようと、マイナー妖怪に走るか、オリジナリテ…

神童

数ある音楽系作品の中で、本作ほど音というテーマに正面から挑戦した作品は少ないだろう。 およそほとんどの音楽マンガは、音ではなくストーリーによって、紙面の中の演奏を描く。 それまでの展開、客席に座る観客の動き等の演出により、演奏が始まる前から…

D-ASH(ダッシュ)

(2012年評)秋重学と北沢未也のコンビが本作でデビューしたときは衝撃だった。 小学校のクラスで一番足の速い男の子「飯塚司」と、交通事故で片足が動かなくなった女の子「前田紗英」。お互いに惹かれあう二人は、出会い、そしてすぐ長い別れを味わうことに…

青い車

この手のマンガが少なくなったのは、やはり90年代と現在では、マンガ家の置かれる環境が違うからなのか。そんな事を思わされる、寡作のマンガ家「よしもとよしとも」の短編集。表題作「青い車」は、淡々としている。まるで何事もなかったかのような、日常の…

ジナス―ZENITH―

吉田聡が描く異色の傑作。 死者を6日間だけ生き返らせる「物体」と蘇った死者を殺す、銀色の殺し屋。 およそ他に類を見ない壮大なストーリー構成は、プロット協力ビッグ・オー(長崎尚志)の影響が大きいのかもしれない。 ただ、個人的には浦沢・長崎作品は…

隣人13号

「井上三太」といえば、TOKYO TRIBEだが、本作も忘れてはいけない。 小学生時代にいじめられた主人公が、いじめっ子のアパートの下の階に引っ越してくるという不気味な展開から始まる物語。 陰惨ないじめが原因で蓄えられた怒りは、別人格13号を心に誕生さ…

むじな注意報!

(2012年評)往年のチャンピオン読者ならばご存知の作者が「小山田いく」だ。 逆に、読まれていない方には、かなり知名度の低い作者でもある。 そんな「小山田いく」の記憶に残る限りでの最後のチャンピオン連載作品が本作だ。 不思議な転校生むじなとそのクラ…

ZERO

松本大洋の初期最高傑作と称される事も多い本作。異常なまでの強さを誇るボクシングのチャンピオン「五島雅」30近くなっても衰えを知らず、一度も倒れる事のないそのその力に、周囲の人間は畏怖の念を込めて「ゼロ」と呼ぶ。負ける事を知らないその才能は、…

三四郎2 さんしろうのじじょう

作品発表から早20年以上ということで、なかなか古本屋でも見つけづらくなった本作を久しぶりに再読。 いやぁ、懐かしい。好きだった作品も10年ぐらい読まないと、それなりに忘れるもので、再読すると当時の感動が甦ってお得な気分である。 設定自体は、至っ…

根こそぎフランケン

傑作である。麻雀マンガは、読み手を強く選ぶ傾向があるので、あまりレビューしていないが、それでも書いておきたくなるほど傑作である。まず、キャラクターが圧倒的に良い。主人公「フランケン」をはじめ、天才「竹井」、竹井打倒を誓う「田村」そして、舞…

じゃじゃ馬グルーミン★UP!

無目的に北海道の牧場に流れ着いてしまった、高校生主人公が牧童として成長していく物語は、全26冊と作者「ゆうきまさみ」の最長巻数作になっている。当時、競馬人気が今よりずっと高かった背景を考慮しても、一人の主人公の人生の流れをここまでゆったりと…

エルフを狩るモノたち

数年前から「2」が開始された、矢上裕の代表作。久しぶりに読んでみたら、当時は面白いアクションギャグマンガという認識だったが、随分とプロットが巧い作品だったことに気がつき感心させられた。よくよく考えてみると、異世界から日本に戻るために、エル…

中年スーパーマン佐江内氏 /未来の想い出

(2012年評)藤子・F・不二雄のSF短編作品は、私が最も愛するマンガの一つである。 そんな氏のSF短編の中でも、最も異彩を放つのが、本作に収録されている「未来の想い出」ではないだろうか。 主人公「納戸理人」は、あたかもF氏をモデルにしたキャラクター…

黒髪のキャプチュード

(2012年評)本日レビューするのはマイナー作品である。 今でこそインターネットの普及により、マイナー作品にもそれなりに日の目が当たるようになったが、本作が連載されていた90年代前半は違う。マイナー誌で連載するという事はそれだけでハンディだった。…

西武新宿戦線異状なし

(2012年評) 「正しい恋愛のススメ 」のようなオトナの恋愛マンガが女性系雑誌のお家芸なら、男性系雑誌のお家芸は何か。 バトルモノはもちろんだが、一つのジャンルとして、戦争モノを挙げたい。 とかく武器や兵器にはまる人種はいる。 本作は、突如内戦が起…

風の谷のナウシカ

改めて読み返すと、偉大な作品だった。年齢を重ねれば重ねるほど、この作品の深さが伝わってくる。アニメに関しては、もはや説明不要の知名度を誇る本作だが、マンガ版が圧倒的な骨太さを持った大河浪漫である事を知らない人も多い。しかし、90年代にこれだ…

孤独のグルメ

(2012年評) 谷口ジローはやはり画力で魅せれる数少ないマンガ家である。 個人的には「神々の山嶺」がベストだが、本作孤独のグルメも捨てがたい。 その圧倒的な画力は並のマンガ家では描けないリアリティの高い世界観を紡ぎ出す。 孤独のグルメは有名な作品…

羊のうた

他人の血を欲する奇病に侵された、悲しい姉弟の物語。 冬目景の描く画風と、作品の雰囲気は、見事に調和している。 この作者特有の、不幸や不安が漂う紙面には、やはり才能としか評せない何かが居座っている。 画風はそのまま作風に影響し、ゆえに冬目景がほ…

玄人のひとりごと

故 中島徹先生の遺作であり、長期にわたってビッグコミックオリジナルを支えてきた偉大な作品。人生の玄人を自称する主人公「南倍南」の、旅、グルメ、ギャンブル、麻雀等などの様々な日々を描くギャグ漫画。淡々と主人公の日常を描くタイプの作品なので、何…

無謀キャプテン

相変わらずの島本節が展開する、逆境ナインに続く男の道三部作の第二弾。 自ら掘った墓穴に自ら落ちる主人公、「堀田戊傑」(ほったぼけつ)が繰り広げる物語だ。 ここまでの設定は大変面白かったが、いかんせん、勢いだけで突き進みすぎた。 学園内の物語で…