つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

1970年代男性系

黒手塚の怪作 ~ 奇子

総合評価・・・3.56 手塚作品はあまりに膨大にあるわけだが、黒い手塚作品としてはかなり知名度の高い本作を今更ながら読了。タイトルがヒロインの名前「奇子」で、ネット情報だと手塚治虫がエロシーンを描いているという事や近親相姦といったテーマが強調さ…

水木しげるの怒り ~ 悪魔くん千年王国

総合評価・・・4.24 さて、以前この記事を書いた時は世の中ではゲゲゲの鬼太郎の猫娘が話題だったのだが、今度は悪魔くんが再アニメ化という事なので改めてリライト。悪魔くんというのは鬼太郎と比較すると非常に難しい作品で、正直、売れたか売れないかでい…

昭和だから許されたマンガ ~ 空手バカ一代

総合評価・・・3.60 なんとも懐かしいマンガが読みたくなって、古本市場で購入。「つのだじろう」が作画を担当した第一部までは読んでいたのだが、第二部は未読だったので、今回初めて完結まで読むことができた。結論としては、マンガ史において他に類を見な…

はだしのゲン

戦争ジャンルを読みたくなって、はだしのゲンを物凄く久しぶりに再読。子供の頃に読んだ中で最も鮮明に記憶に残る作品であり、現在の戦争や平和や左や右に対して少なからず影響を与えた本作だが、物語の序盤、主人公のゲンが家族を失う体験が、作者「中沢啓…

釣りキチ三平

物凄く久しぶりに釣りキチ三平を再読。作品発表が1973年と恐ろしく古い作品だが、その後約50年、「釣り」というテーマを描かせたら、この作品を超えるマンガはついに現れなかった。というか、この作品があるから「釣り」ジャンルの漫画はもう書かなくて良い…

男おいどん

貧乏マンガの原点と言われる本作は、作者「松本零士」の出世作でもある。文庫版最終巻のあとがきでも語られているが、自身の体験した貧乏な時代の鬱屈とした感情を作中で描く事で、当時の若者から絶大な支持を得た本作だが、流石に作品発表から50年ほどが経…

不朽の名作 ~ 藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版

2023年出版のコンプリート・ワークスとの違いは最後に追記 総合評価・・・4.90 年の瀬は名作を、という事で長文である。日本国民にとって不朽の名作を残し続けた藤子先生だが、A氏の最高傑作を「まんが道」とするなら、F氏の最高傑作は本作ではないだろうか…

マタギ

久しぶりに「矢口高雄」の名前を見かけたので購入。やはり、自然世界を描かせたら右に出る者はいない巨匠の一人である。シンプルなタイトルだが、その名の通り「マタギ」という狩猟の世界を、少年マンガ的に描いた作品で、70年代的な過剰な表現はあるものの…

銀河鉄道999

作品名は圧倒的に有名だが、既に発表から30年近く経過している事を考えると原作未読の方も多いのではないだろうか。イメージとして良く知られている機械の身体を求めてメーテルと旅する星野鉄郎の物語は、どちらかというと本当の主題ではなく、銀河鉄道999の…

包丁人味平

あまりに懐かしい本作を古本屋で発見して、久しぶりに読了。やはり、この時代は「牛次郎」と「ビッグ錠」コンビの黄金時代だ。 70年代少年マンガの魅力のほとんどが、この辺りの作品に詰まっていると断言したい。 まだマンガにリアリティが全く求められてい…

天才バカボン

誰もが知っている有名作品だが、その序盤があまり面白くない事は意外と知られていない。 連載初期のバカボンは、正直それほど面白くない。パパも常識人だし、ギャグもそこそこだ。 ただ、中盤以降、段々と作者の頭がおかしくなってきた頃からの面白さは凄い…

洗礼

加齢とともに美しさを失っていく恐怖に耐えかねた女優が、若さと美貌を取り戻す事だけを目的に、娘を産み、そして自分の娘と脳移植をするという伝説的な作品。 一度読んだら決して忘れられないこの設定は、マンガ黎明期にのみ許された特権であり、このインパ…

こちら葛飾区亀有公園前派出所

マンガに関するブログを書いている人は、今日はみな「こち亀」について書くのではないだろうか。連載40周年200巻にて、ついについに完結してしまった。私がこれから死ぬまでの間に、この記録を超える作品は恐らく出ない。それくらい歴史的な偉業に立ち会って…

藤子不二雄Aのブラックユーモア

いわゆるA氏のブラックユーモア短編集である。 「まんが道 」の回でも評したとおり、A氏のブラックユーモアは、人間の負の感情をストレートに描いており、大変面白い。ショートショートとして見てしまうと、その奇抜さ斬新さはF氏の作品が上だが、人間の…

地球を呑む

やはり、並の作品は描かない巨匠である。本作も壮絶に実験的な作品となっている。自身の悲劇的な人生から、娘達に遺言を残す母親。 金を滅ぼし、法律・規律を滅ぼし、男を滅ぼす。 この約束を胸に、娘達は、世界を滅ぼす為の活動を続ける。そのための手段、…

MW

まさにピカレスク作品と呼ぶに相応しい巨匠の異色短編。それが本作である。 主人公は牧師と銀行員の二人の男性。 若き日に沖縄の離島で一夜を過ごした二人は、翌朝、全ての住民が死滅するという惨劇に巻き込まれる。 しかし、それらの事実は時の政府にもみ消…

忍者武芸帳 影丸伝

70年代カテゴリに入れているが、正確には50年代から60年代の古典に入る作品となる。白土三平の最高傑作と謳われる本作は、当時の少年たちの心を掴んで止まなかったのも頷ける大傑作である。 現代のマンガに慣れている人からすれば、絵は古臭く見えるかもし…

ブラック・ジャック

残念ながら本作を読まれた事がない方とは、マンガの話をする気にはなれない。 説明不要の大傑作だ。 思えば手塚マンガは、普通のマンガとは違う。 宮崎アニメが普通のアニメと区別されるように、手塚マンガもまた、普通のマンガと区別される。 その壁はやは…

まんが道

藤子不二雄Aの最高傑作を挙げろと言われれば、恐らくこの「まんが道」が選ばれるのではないだろうか。 F氏に比べるとA氏の作品は地味に見られがちだが、そのラインナップは当然ながら並の作家とは比べるまでもない。 怪物くんやハットリくんも良いかもしれな…

デビルマン

デビルマンを産み出していなければ、永井豪というマンガ家への評価は全く違ったものになっていただろう。 もちろん、人気作品を多数排出した一流マンガ家である事は理解している。けれども、 デビルマンだけは別格だ。 デビルマンはその主題歌等から、アニメ…