つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

総合3.5以上(オススメの名作)

3年奇面組/ハイスクール!奇面組

今読み返すとやはり、時代と寝た作品だったと確信させられる、80年代少年ギャグマンガの傑作。 今となっては古臭く感じる絵柄も、登場人物たちのドタバタ感も、当時は全てが新しく感じられたことが懐かしい。 最も悲惨な最終回の一つとして、長く語り継がれ…

ぶんぶんレジデンス

近代麻雀に連載された、爆笑麻雀マンガ。懐かしくて購入。 大学の学生寮「竹丸寮」に入った主人公「矢鴨」が、ひたすら麻雀で金をむしり取られる。 序盤は、竹丸寮のキャラの強さだけがウリで、あまり面白くない。 しかし、「特殊ルール麻雀」が始まってから…

大人スキップ

やはり「松田洋子」は鬼才だった。14歳の中学2年生の女子が、ふとした事故から眠りに入って、目が覚めたら40歳になっていた。そんな夢も希望もない状態からスタートした本作が全2冊で完結と知ったときは明らかに打ち切りエンドを想像していた。しかし、結果…

カメントツの漫画ならず道

Webで好評を博した作者「カメントツ」がゲッサンに殴り込んできた本作も2巻で完結。内容的に面白くないというわけではなく、数多の大御所に、恐ろしく切り込んだルポをし過ぎて取材先が確保できなくなったという原因で、「ゲッサンの雇われ鉄砲玉」の異名に…

ウツボラ

「中村明日美子」の描く可愛い女の子の物語も良いが、やはり、本作のような世界観こそ、この作者に相応しい。冒頭からの突然の女性の自殺と、彼女の双子を名乗る謎の女性と、行き詰まりの小説家。序盤からのミステリアスな雰囲気を最後まで保ちながら、全2冊…

極悪がんぼ/激昂がんぼ/がんぼ ナニワ悪道編

極悪がんぼ16冊からはじまり、激昂8冊、ナニワ悪道編9冊と長きにわたって続いた本シリーズもついに完結である。裏社会のナニワ金融道的な存在だった、序盤の極悪がんぼも面白かったが、個人的には主人公神崎がフィクサーとして頭角をあらわしはじめる激昂編…

サナギさん

絵が下手という致命傷を抱えながら、独特のセンスでマンガ家の地位を確立している作者「施川ユウキ」の代表作である。主人公のサナギさんがほんわかに、友人のフユちゃんが毒舌を交えて、世の中を眺めるだけの4コマギャグマンガ。 ただ、それだけのマンガな…

劇画・長谷川 伸シリーズ 瞼の母

往年の名マンガ家「小林まこと」が、長谷川伸の傑作を劇画化したシリーズだが、シリーズ中でも屈指の出来栄えとなる本作。 本シリーズでは小林作品に出てきたキャラクターのスターシステムを採用しているだが、満を持して「三四郎」を主人公の配役にしている…

聲の形

「聾唖といじめ」という今まで切り込まれてこなかった、反響が恐ろしいジャンルの読み切りが、圧倒的な人気を得た事から連載になったのだから、日本のマンガ読者のレベルはやはり高くなったのだろう。 ただ、マガジンという少年誌ではやはり、週刊少年誌的な…

五色の舟

原作者「津原泰水」の傑作を「近藤ようこ」がマンガ化した本作だが、それにしても凄い作品である。 多少マンガを読み慣れた人ならば、数ページ読んだだけで本作の異様なまでの魅力が理解できるだろう。戦時中という非日常の中に障碍者や異形の生き物というマ…

マタギ

久しぶりに「矢口高雄」の名前を見かけたので購入。やはり、自然世界を描かせたら右に出る者はいない巨匠の一人である。シンプルなタイトルだが、その名の通り「マタギ」という狩猟の世界を、少年マンガ的に描いた作品で、70年代的な過剰な表現はあるものの…

ちーちゃんはちょっと足りない

「阿部共実」お得意のブラックユーモア作品。デビュー作の頃から変わらず、この手の気持ち悪い不安感を描くのが相変わらず得意な作者である。 ちなみにこの作品自体はレビューそのものが、若干ネタバレになってしまうので、阿部作品未読の方は、読まずにまず…

邪眼は月輪に飛ぶ

短編作品としては最高峰の絶賛を受ける、「藤田和日郎」の傑作。見られたら死ぬ、という圧倒的な力の梟「ミネルヴァ」と、それを追う狩人の物語。 スピーディーな展開と藤田作品特有の迫力あるアクションが混ざり、気が付けば、最後まで読んでしまう短編傑作…

CLAYMORE

13年は長い時間だったが、稀代のダークファンタジー作品の素晴らしいラストに脱帽。 あの「エンジェル伝説」の「八木教広」が、女性だけをメインキャラクターに、バトルファンタジー作品を描き始めたと聞いた時は、正直、少しも期待できなかった。 事実、連…

きまぐれオレンジ☆ロード

作者「まつもと泉」の最高傑作。80年代に颯爽と登場した本作が、その後のジャンプにおけるラブコメの路線を定着させたと言っても過言ではない。主人公「春日恭介」の優柔不断さといい、ヒロイン二人のキャラクター描写といい、改めて読み返すとその後のラブ…

タケヲちゃん物怪録

良い作品だった。作者がのびのびと描いている事が伝わってくる、非常に良い作品だった。 「とよ田みのる」作品は当然ながらその絵が持ち味であり、良くも悪くもジャンルと作風を限定させてしまう。 その中で、そろそろネタ切れかな、と思っていた時期に発表…

銀河鉄道999

作品名は圧倒的に有名だが、既に発表から30年近く経過している事を考えると原作未読の方も多いのではないだろうか。イメージとして良く知られている機械の身体を求めてメーテルと旅する星野鉄郎の物語は、どちらかというと本当の主題ではなく、銀河鉄道999の…

福家堂本舗

人間描写が上手い作者「遊知やよみ」の代表作。京都に450年続く老舗の和菓子屋福家堂。お店を継ぐと思われているしっかり者の長女「雛」。放蕩三昧にすごすが、実は一番お菓子に愛着がある次女の「あられ」。そしてのびのびと育っている三女の「ハナ」。三姉…

ディアスポリス 異邦警察

異端の画力「すぎむらしんいち」と、思わせぶりの原作「リチャード・ウー」のコンビによる異色の物語。日本に不法滞在する外国人と、その人権を守る裏都庁。そして裏都庁の警察署長を務める、主人公「久保塚早紀」。設定の面白さは圧倒的で、さすがに毎週の…

かってに改蔵

異端のギャグマンガ家「久米田康治」が、そのスタンスを完全に確立させたという意味でも、デビュー誌を去ることになったという意味でも、色々と記念碑的な作品。毎回、常人には思いつかない謎のテーマを掲げて、特異な時事ネタを展開する、そのギャグマンガ…

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン

カルトジャンルの作品をあげていけば、必ずその名前が挙がる作品であり、作者「新井英樹」の最高傑作ともいえる本作。世紀末の時代の世相に相応しいテロリストと、山の神ともいえる存在「ヒグマドン」の邂逅。単なる恐怖の描写だけを描いた作品というよりは…

羣青

作者「中村珍」の代表作である。女性二人による、殺人からの逃走劇を全3冊で描いた本作は、同性愛者としてカミングアウトしている作者ならではの視点や思想に満ちており、読者に圧倒的な熱量で迫ってくる。正直、面白い面白くない以前に思考を強制されるので…

金の国 水の国

久しぶりに改めて読み返したが、やはり「岩本ナオ」は素晴らしい才能である。新作「マロニエ王国と七人の騎士」には、まだ手が出せていないが、こちらも傑作になるのだろうか。ちなみに作品自体の感想は、以前書いたので、こちら。 mangadake.hatenablog.jp …

パレス・メイヂ

架空の日本の明治時代を描いた、身分違いの近代宮廷恋愛絵巻もついに完結である。「暴れん坊本屋さん」の「久世番子」に、まさかこんなマンガが描けるとは、正直、驚かされた。しかし、その世界観や設定の奥深さからは、様々な資料を調査したであろう事が伺…

デストロイ アンド レボリューション

「森恒二」続きである。家族の不幸により社会的弱者の地位に追い詰められ、日々を地味に生き抜いている高校生「田中マコト」。そして、彼と対極的に華やかな高校生活を送っているが、心の中では世界に対する様々な怒りを持ち続けるもう一人の主人公「ユウキ…

弁護士のくず 第二審

その圧倒的に存在感のある主人公で、ドラマ化も果たした異色の弁護士作品もついに完結。 ちなみに本作品自体が、現実の請求差し止め問題に巻き込まれた事によってか、本作は無印10冊と第二審の11冊が刊行されている。 最も全21冊の中で、本当に傑作だった部…

放浪息子

志村貴子の最長編作品「放浪息子」 これだけの長編なので、今までの志村作品とは何か違うかと思えるが、やっぱりあまり変わらない。 ただ、相変わらず圧倒的に色気があり魅力のある作画である。 本ブログでも何度も天才と評している通り、この作者の場合、や…

いちえふ

やはりマンガ読みとして「いちえふ」はオススメしておきたい。 福島原発内部に潜入し、内部の労働事情を描いた本作は、マンガとしてもそこそこ面白い。ただ、それよりもやはりこのテーマが連載されて、単行本になっているというマンガ業界の懐の広さに感動す…

魁!!男塾

80年代ジャンプ読者には、もはや説明不要で、未だに語り継がれる圧倒的なバトルギャグマンガ。それが本作「魁!!男塾」である。今の時代に、この勢いだけの作品をジャンプで連載させると、一体どんな反響があるのかと考えさせられてしまう。それぐらい荒唐無…

予告犯

非常に面白い作品だ。インターネット動画投稿サイトで、社会悪に対して制裁を加えるテロリスト「シンブンシ」の登場から物語は始まる。そして、徐々にネット社会を味方につけていく「シンブンシ」と、対警察との頭脳戦を描いた秀逸なサスペンス。基本的に昨…