つれづれマンガ日記 改

完結してる漫画をテーマに、なんとなく感想。 レビュー、評論、おすすめ、駄作、名作、etc

総合3.5以上(オススメの名作)

ディアスポリス 異邦警察

異端の画力「すぎむらしんいち」と、思わせぶりの原作「リチャード・ウー」のコンビによる異色の物語。日本に不法滞在する外国人と、その人権を守る裏都庁。そして裏都庁の警察署長を務める、主人公「久保塚早紀」。設定の面白さは圧倒的で、さすがに毎週の…

かってに改蔵

異端のギャグマンガ家「久米田康治」が、そのスタンスを完全に確立させたという意味でも、デビュー誌を去ることになったという意味でも、色々と記念碑的な作品。毎回、常人には思いつかない謎のテーマを掲げて、特異な時事ネタを展開する、そのギャグマンガ…

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン

カルトジャンルの作品をあげていけば、必ずその名前が挙がる作品であり、作者「新井英樹」の最高傑作ともいえる本作。世紀末の時代の世相に相応しいテロリストと、山の神ともいえる存在「ヒグマドン」の邂逅。単なる恐怖の描写だけを描いた作品というよりは…

羣青

作者「中村珍」の代表作である。女性二人による、殺人からの逃走劇を全3冊で描いた本作は、同性愛者としてカミングアウトしている作者ならではの視点や思想に満ちており、読者に圧倒的な熱量で迫ってくる。正直、面白い面白くない以前に思考を強制されるので…

金の国 水の国

久しぶりに改めて読み返したが、やはり「岩本ナオ」は素晴らしい才能である。新作「マロニエ王国と七人の騎士」には、まだ手が出せていないが、こちらも傑作になるのだろうか。ちなみに作品自体の感想は、以前書いたので、こちら。 mangadake.hatenablog.jp …

パレス・メイヂ

架空の日本の明治時代を描いた、身分違いの近代宮廷恋愛絵巻もついに完結である。「暴れん坊本屋さん」の「久世番子」に、まさかこんなマンガが描けるとは、正直、驚かされた。しかし、その世界観や設定の奥深さからは、様々な資料を調査したであろう事が伺…

デストロイ アンド レボリューション

「森恒二」続きである。家族の不幸により社会的弱者の地位に追い詰められ、日々を地味に生き抜いている高校生「田中マコト」。そして、彼と対極的に華やかな高校生活を送っているが、心の中では世界に対する様々な怒りを持ち続けるもう一人の主人公「ユウキ…

弁護士のくず 第二審

その圧倒的に存在感のある主人公で、ドラマ化も果たした異色の弁護士作品もついに完結。 ちなみに本作品自体が、現実の請求差し止め問題に巻き込まれた事によってか、本作は無印10冊と第二審の11冊が刊行されている。 最も全21冊の中で、本当に傑作だった部…

放浪息子

志村貴子の最長編作品「放浪息子」 これだけの長編なので、今までの志村作品とは何か違うかと思えるが、やっぱりあまり変わらない。 ただ、相変わらず圧倒的に色気があり魅力のある作画である。 本ブログでも何度も天才と評している通り、この作者の場合、や…

いちえふ

やはりマンガ読みとして「いちえふ」はオススメしておきたい。 福島原発内部に潜入し、内部の労働事情を描いた本作は、マンガとしてもそこそこ面白い。ただ、それよりもやはりこのテーマが連載されて、単行本になっているというマンガ業界の懐の広さに感動す…

魁!!男塾

80年代ジャンプ読者には、もはや説明不要で、未だに語り継がれる圧倒的なバトルギャグマンガ。それが本作「魁!!男塾」である。今の時代に、この勢いだけの作品をジャンプで連載させると、一体どんな反響があるのかと考えさせられてしまう。それぐらい荒唐無…

予告犯

非常に面白い作品だ。インターネット動画投稿サイトで、社会悪に対して制裁を加えるテロリスト「シンブンシ」の登場から物語は始まる。そして、徐々にネット社会を味方につけていく「シンブンシ」と、対警察との頭脳戦を描いた秀逸なサスペンス。基本的に昨…

薫の秘話

カルト系作品の話になれば、必ず取り上げられる作品の一つが本作「薫の秘話」である。 そもそも、ハゲ、デブ、チビ、マザコンに、ホモでニートの主人公なんて、マンガ史上二度と登場しないだろう。 そんなマイノリティー主人公が、社会を口先三寸で笑い飛ば…

天地明察

原作者「冲方丁」の有名時代小説をコミカライズした作品。 日本の暦を作成した男「渋川春海」の生涯を描いた物語で、江戸時代の生活を作画担当の「槇えびし」が非常に魅力的に画力で描いている。 城の碁打ちとして退屈な日々を過ごす主人公が、算術を競い合…

AQUA / ARIA

作者「天野こずえ」を一躍有名にした代表作。水の惑星「AQUA」の街を案内する、水先案内人=ウンディーネの主人公を描いたファンタジー作品。 萌え系の画風やキャラクターの作品が苦手なのだが、本作の持つ独特の世界観と、ゆったりとした物語は確かに高いオ…

描かないマンガ家

初期の頃しか連載を読んでいなかったので、全7冊通しで読んでみたら、恐れ入った。 ギャグ漫画の「みたむらくん」のイメージしかなかった作者「えりちん」だが、こんなに面白いストーリー漫画を書けるとは。 口先ばかりで、何があっても絶対にマンガを描かな…

不安の立像

あとがきには、あまり怖くない作品を集めた、と書かれているが正直、「諸星大二郎」作品で怖くないものはあまりない。 特に、人間の得体のしれない感情を、メタ化して作品に落とす業がすさまじく、本作収録の「不安の立像」「子供の遊び」辺りが白眉である。…

こどもの体温/彼は花園で夢を見る

珠玉の短編である。 「よしながふみ」が一流処に名を連ねてから随分たつが、この文庫版に収録されている作品を描いていたころは、まだまだマイナー作家だった。 しかし、その時代から、この作者は変わらず、面白い作品を描き続けている。これは、実にスゴイ…

Y氏の隣人

作者「吉田ひろゆき」が現在も作品を発表しているか微妙なところだが、この作品のインパクトは強かった。一話完結のショートストーリーで、人間の欲望やエゴに対して、それを叶えてくれる不思議な道具を渡す幸福の伝道師ザビエール。無論、その道具が必ずし…

怪盗ルパン伝 アバンチュリエ

作者「森田崇」の代表作となるモーリス・ルブランの名作のコミカライズ。 イブニングの連載中止からヒーローズコミックスで無事復活した本作だが、名作「奇厳城」編を収録できた意義は大きかった。ルパンという非常に魅力的なキャラクターをマンガの世界で楽…

無限の住人

作者「沙村広明」の代表作にして、長年、アフタヌーンを支えていた時代活劇。 家族を惨殺された少女「凛」と、彼女の復讐のために雇われた不死の男「万次」の長い復讐の旅路。 とはいえ20年に渡る、あまりの超長期連載に、中だるみ感がなかったとは言えな…

町でうわさの天狗の子

作者「岩本ナオ」の出世作となった天狗の子も無事完結。 「雨無村役場産業課観光係」の牧歌的で少しリアルな世界観も良かったが、本作は、日常の高校生活の中に「天狗」という異世界を自然に混ぜ込んだ、混沌ファンタジー。 天狗と人間のハーフに産まれなが…

アバンチュリエ

日本でルパンのマンガを読むのであれば本作をオススメしたい。そんな風に感じる傑作である。 もちろん、原作のルパンの面白さがあるからこその本作の出来栄えなのだが、それにしても、トリックの舞台となる建物や、いかにもナルシストでアーティスティックな…

桜の園

「河よりも長くゆるやかに」が少しひねりを加えた変化球だとすれば、これこそが、作者「吉田秋生」の真骨頂ではないだろうか。女子高生活の華やかさや明るさだけを描くお気楽な作品が多い昨今、昔の少女漫画は、真剣にこのテーマに取り組んでいたな、と思わ…

ナガサレール イエタテール

近年、最も注目に値する新人マンガ家を問われれば、本作の作者「ニコ・ニコルソン」と答えたい。 まだ「ストーリー漫画」を目指すのか「エッセイ系マンガ」でいくのかはわからないが、エッセイ系では十分に一流の仲間入りができるレベルだ。 本作は、東北大…

いつもポケットにショパン

ベテラン「くらもちふさこ」による往年の名作であり、主人公「麻子」と幼馴染の「季晋」のピアノと青春を描いた本作。長期間にわたって読者から評価される作品が必ず持ち合わせているものとして主人公の魅力というものがある。不器用で母親との関係が上手く…

ママゴト

やはり「松田洋子」作品は良い。人間の持つ泥臭さの表現の幅が、並のマンガ家と一線を画している。 風俗店時代に授かった最愛の子供を自分の不注意で死なせてしまった映子。 その事件以降、子供と向き合えない人生を送っていた彼女が、友人の子供を預からな…

モリのアサガオ

マンガ文化の幅広さを感じさせる作品は多々あるわけだが、マンガが大人にとっても娯楽たりえると感じさせてくれる極めて深い作品である。タイトルの由来は、死刑囚を収監する刑務所=暗い森と、朝に突然呼び出され昼前には処刑される死刑囚=アサガオの二つ…

包丁人味平

あまりに懐かしい本作を古本屋で発見して、久しぶりに読了。やはり、この時代は「牛次郎」と「ビッグ錠」コンビの黄金時代だ。 70年代少年マンガの魅力のほとんどが、この辺りの作品に詰まっていると断言したい。 まだマンガにリアリティが全く求められてい…

A-BOUT!

A-BOUT!に関して書くとすれば、マガジン編集部が本当に勿体ないことをした、という一言に尽きる。 本作は、連載当初こそ勢いだけのバカヤンキーマンガだと思われていたが、そのバカさ加減こそ、喧嘩ヤンキーマンガの命だという事がわかる大傑作だった。特に…