つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

総合3.0以上(読んで損はない)

就職氷河期の呪い ~ ブルーカラー・ブルース

総合評価・・・3.00 「無職の学校」という職業訓練校を舞台にした作品が完結したので、似たようなジャンルの作品として本作を十年ぶりぐらいに読み返したが、当時の印象と変わらずとにかく重く息苦しい作品だった。そして、それこそが本作が描こうとした世界…

ご近所ヒロイン ~ 雪乃すくらんぶる

総合評価・・・3.36 懐かしのNORAコミックスである。作者「井原裕士」の初連載作品という事で1巻の最初に収録されている読み切り「雪乃エマージェンシー!」の初出がなんと1993年だった・・・。個人的にはノーラコミックス全般は若いころに読んでいた少し古…

エロス系JK ~ フラレガール

総合評価・・・3.48 お色気JK「赤坂さん」と天然男子「青山くん」のラブコメ、というよりギャグ寄りのエロコメ作品。ヒロインの赤坂さんは先日レビューした兄友のヒロインとは真逆の存在で、ついたあだ名が愛人という困った存在。このあたりの作品の幅の広さ…

ウブウブラブコメ ~ 兄友

総合評価・・・3.42 本作は作者「赤瓦もどむ」の初オリジナル連載作品で、所帯じみたヒロイン「七瀬まい」と、女の子慣れしていない兄の友達「西野荘太」のペアによる全10冊の恋愛ラブコメである。花ゆめ45周年記念の作者インタビューでも語られている通り、…

氷河期とごはん ~ 一日三食絶対食べたい

総合評価・・・3.30 発表当時、第一話をネットで読んだときに、その完成度の高さと雰囲気の良さに驚いた作品。突如として氷河期になり食料が無くなってしまった現代日本を舞台に、ダメ男子「ユキくん」としっかりした少女「リッカさん」の二人が肩を寄せ合っ…

薀蓄料理漫画 ~ てんまんアラカルト

総合評価・・・3.38 さて、当たり前のように面白いの水準を毎回上げていく天才「小林有吾」による傑作「フェルマーの料理」がドラマ化するという事で、これはもう当然としか言いようがないだろう。それぐらい、フェルマーの料理は昨今の料理マンガの中では頭…

千手観音症候群 ~ 田中雄一作品集 まちあわせ

総合評価・・・3.34 なぜか検索数が多い作品なので、数年ぶりに読み直して記事をリライト。全体的に人間以外の生物と共生する社会があるとしたらの「if」の世界を粗削りながら描いている作品群だが、以下の作者巻末コメントにもあるように虫や巨獣のデザイン…

画力とマンガの天秤 ~ KEYMAN

総合評価・・・3.46 アメコミやアート的といったレビューが並ぶ本作だが、作品自体はそこまで大味の海外型作品ではなく、しっかり日本のファンタジーマンガである。ただし、非常に評価が難しい作品。特に画力の面の評価が難しい。とにもかくにも線の太さと濃…

変化する顔と物語 ~ 星野、目をつぶって。

総合評価・・・3.34 読み終わってもレビューに手を付けていない積んでる作品が多くなったので、多少振り返ってレビューという夏休みの宿題に取り組むことにする。 メイクをすると美少女に変身するヒロインの星野と、自分ではメイクできない星野を手伝うこと…

現実路線ファンタジー ~ 放課後!ダンジョン高校

総合評価・・・3.24 入学した離島の高校には、謎のダンジョンと怪物とお宝が・・・という、なかなか面白そうなファンタジー設定で始まる作品だが、正直、評価が非常に難しくわりと辛口レビューなのでファンの方はそっ閉じで。 さて、全11冊のうち8巻までの第…

耽美とSM ~ 沈夫人の料理人・料理店

総合評価・・・3.48 異色の料理漫画として、そして忘れられないキャラ立ちの女性主人公として、思い出される本作。 美食大好きで、女王様気質の「沈夫人(しんふじん)」と、何をやっても間抜けで腰が低いが料理だけは超一流の料理人「李三(りさん)」のコ…

カラスたちの伝説 ~ WORST

総合評価・・・3.44 久しぶりにクローズを全巻一気読みしたので、その勢いでWORSTも読了。まぁ賛否両論あるのもわかる作品だったので、以下ネタバレレビュー。 さて、シリーズを通読して痛感させられるのだが、やはりクローズは月間少年チャンピオンの伝説だ…

「なんとかなる」の物語 ~ シャーマンキング

総合評価・・・3.48 マンガの中にはたまに「あー、あの最終回どうなったんだっけ、なんか凄い良い場面があったのだけは覚えてるんだけど・・・」みたいな感情を掻き立てられて、ついつい再読する作品というものがある。 というわけで、SHAMAN KING=通称「マ…

幻想の同棲生活 ~ ストレッチ

総合評価・・・3.44 OL慧子と女子大生の蘭の二人が、なんとなくキャッキャッウフフする同棲生活を眺めるという、よくある萌え系百合マンガのジャンルに「ストレッチ」というオリジナリティを加えた作品。とだけ書くとなんとも身も蓋もない説明になってしまい…

少年漫画の原罪 ~ タコピーの原罪

総合評価・・・3.24 さて、少し前に話題になったタコピーの原罪は、下巻発売と同時に読んでいたのだが、やっとブログに書く時間ができた。内容的には完全にネタバレ含めて、かつ、そこまで高評価ではないのでファンの方はお帰りください。以下本文。 さて、…

少年の友情再び ~ BIRDMEN(バードメン)

総合評価・・・3.48 あまり意識して書いたわけではないのだが、当ブログで良く閲覧されている記事が田辺イエロウ氏の「結界師」である。物語自体が大きく変遷しながら展開する長編作品なので、じっくりと腰を据えて読むのがお勧めな和風ファンタジーの大傑作…

ふしぎの国の有栖川さん

個人的にハル×キヨが好きだった「オザキアキラ」作品である。 大切に育てられた箱入り娘で恋愛に超鈍感な主人公「有栖川鈴」と、いつもやさしい完璧イケメン、野宮くんとのラブコメディ。なんともストレートな少女漫画で、序盤は恋愛と無縁の主人公の慌てぶ…

東京怪奇酒

北区赤羽が完結した以上に、壇蜜との結婚で話題をさらった「清野とおる」だったが、相変わらずのテンションの最新作に安心。どの話も味があって面白いのだが、後半収録の話の方が個人的に好みで、「事故物件夫婦」や「入れない路地」あたりがお気に入りであ…

ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記

以前から気になっていたが、なかなか読めなかった本作をついに読了。タイトルの通り、昆虫というレアなテーマを真面目に掘り下げた秀作で、チャンピオンRED連載故にエロシーンを挟まずにはいられなかったのだろうが、そんな要素を抜きにして、青年誌辺りでし…

美大受験戦記アリエネ

書きたくない、しかし読んでしまったからには書くしかない。完結したのにずっと読んでいなかったアリエネに、ついに手を出してしまった。 このブログの作品レビューでは総合5点満点を「圏外」と称していて、「圏外」扱いにする作品は2つだけと最初から決め…

hなhとA子の呪い

物凄く久しぶりに更新。 久しぶりすぎてはてなブログの書き方を忘れるレベル。 最近は純粋にマンガを楽しむ為にブログを書かずに、のんびり読む専門で暮らしていたのだが、本作を読んで久しぶりに書きたくなったので、記事にする事にした。内容としては、性…

マルドゥック・スクランブル

原作未読なのだが、各種のレビューを読む限り、原作の面白さを完全に再現したコミカライズとはいかなかったようである。近未来SFと残虐なサスペンスとシュールさを交えた世界観が、どうにも淡々として描かれてしまっており、それ故に、途中で挟まれるギャン…

あせびと空世界の冒険者

非常に丁寧に冒険ファンタジーを描いていた本作が、急遽10巻で完結してしまい、ショックでしばらくレビューを放置していたが、久しぶりに再読。COMICリュウ休刊のあおりをうけてしまったのかわからないが、急ピッチで今までの伏線を最終巻で回収しており、こ…

1/11 じゅういちぶんのいち

一時期話題になった本作を今更ながら読了。サッカーマンガというより、一人のプロサッカー選手の人生に関わった登場人物達を描いたオムニバス形式のヒューマンストーリーという構成の本作。特に、序盤の面白さは抜群で、ストレートすぎるほどの感動作品とし…

ハイスコアガール

作者「押切蓮介」の人生においても、忘れられない作品になったであろう本作もついに10冊で完結である。この作品の評価に関しては本当に難しい問題で、最終10巻の終わり方に関してはとても納得できるレベルではないのだが、仕方ないのである。なぜなら、この…

カルト宗教信じてました。

最近は、出版できる人の裾野が広がったおかげで、色々なエッセイ作品が読める。その中でも特にジャンルができつつあるのが、この「宗教に染まっていた人生」を見返す作品である。 これが、なかなか面白いドキュメンタリーで、他者から見るとなぜそんな人生に…

そしてボクは外道マンになる

田舎から出てきた新人漫画家「平松伸二」が、当時の過酷な少年ジャンプの世界で生きてのびていく体験を描いたフィクション自伝作品も4冊で完結である。作中、色々な過去のジャンプ関係者が登場した本作だったが、残念ながら、「鳥嶋編集長」の見立て通り、中…

常住戦陣!! ムシブギョー

Amazonのレビューが酷評だったので、全32巻も読む時間が無駄にならないか不安に思いながら読み続けたが、言われるほど悲惨な作品ではなかった。問題点としては、序盤からエロ描写が多い作品なのだが、その方面のファンがついたために、ラストのハーレムエン…

その「おこだわり」俺にもくれよ!!

「青春ヒヒヒ」といった狂気のギャグマンガを描いていた「清野とおる」が、まさか北区赤羽でエッセー漫画の大家になるとは夢にも思わなかった。そんな作者の異常な執着の集大成ともいえるべき本作。人生の些細な楽しみにこだわった人々、通称「おこだわり人…

雲出づるところ

土田世紀作品の中でも、未読だった本作を古本屋で購入。あらすじからして重い話だとは思っていたが、上下巻を通して読むと心底重たい。幸せの絶頂を迎えるはずだった二人が、癌との闘病生活を始める事になる展開に始まって、これでもか、というくらい困難が…