つれづれマンガ日記 改

マンガをテーマに、なんとなく感想。レビュー、おすすめ、名作、駄作、etc

海街Diary

ついに完結した海街Diary
無事全9冊で終了した本作だが面白かった。本当に面白かった。

もはや60歳になってしまった超ベテラン「吉田秋生
今まで、この作者の作品を色々読んできたわけだが
12年続いた本作こそが、代表作といって良いのではないだろうか。

 

もうこれだけマンガを読み漁ると、面白いマンガとの出会いは減るのだが、
本作は全9冊、どれも色褪せることなく最高に面白かった。
近年完結した作品の中では最高のマンガの一つだろう。
この作品が300万部程度しか売れていない事に逆に驚愕である。

鎌倉に住む四姉妹を描いた本作だが、まず、キャラクターが抜群に良い。
第一話の「蝉時雨の鳴く頃に」を読んだ時から、
圧倒的なキャラの強さとリアリティに度肝を抜かれたわけだが、
その後も勢いを落とすことなく、彼女達の人生が見事に描かれていた。
このあたり、近年の女性キャラばかり描く萌えマンガに爪の垢を煎じて飲ませたい。
またサブキャラクターの味わいも抜群で、福田さんは最後までおいしいキャラだった。


また、ストーリーも文句のつけようがない。
これはもうベテランの領域としか言いようがなく、
これだけ年代の広い主人公たちの物語を違和感なく描けるのは神業である。

絵も巧い。特に構図が素晴らしく、様々なアングルで描かれる描写がたまらない。
恋愛の場面から葬式帰りの場面までとにかく幅の広い本作のリアリティを支えているのは、この描写の巧さに他ならない。

日常を描くマンガというのは、マンガジャンルの中では最高峰に難しい作品の一つで、
特殊な能力も異世界転生もせずに、淡々と人生を過ごす描写が続くわけだが、
それでも面白いのだから、このマンガはやはり凄い。
2000年以降に発表された少女マンガの頂点に君臨する作品といって良いだろう。

未読の方が羨ましい限りである。