つれづれマンガ日記 改

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放浪息子

志村貴子の最長編作品
放浪息子

これだけの長編なので、
今までの志村作品とは何か違うかと思えるが、
やっぱりあまり変わらない。


ただ、相変わらず圧倒的に
色気があり魅力のある作画である。

本ブログでも何度も天才と評している通り、
この作者の場合、やはり本質的にマンガが巧いのだろう。


また一貫して性に関するテーマを描くことで、
キャラクターが活き活きと動いている。


本作は、
「男の子になりたかった女の子と女の子になりたかった男の子」の、
一言でいってしまえば、ただそれだけの物語だが、
普段の志村作品より巻数が多い分、
彼等の成長を丁寧に描けており、
物語としても無事完結している点が魅力的だ。


ただ、志村貴子に複雑な伏線や、
壮大なファンタジーを求めるかと言えば、
そんなことは全くなく、
相も変わらず、性や恋に悩む少年少女を描かせれば、
40歳近くになっても現役最高峰なのだから、
この感性で同じ作品を描き続けてほしいものだ。


余談だが、13巻のあとがきに他のマンガ家からの
寄せ書きが入っていたが、アタリをつけずに
ほぼ修正なしで描いているらしい。

まぁ、絵が圧倒的に巧いのは昔からなので、
今更驚く事でもないわけだが。

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